前回の記事の続きになります。
サピックスのテキスト構成が独特だというテーマです。
サピックスは毎回の授業ごとに1冊テキストが配られます。
そして、そのテキストの中に収録されている問題の並べ方がてんでバラバラなのです。
たとえば、「平面図形と比」という回のテキストがあったとします。
そしてこの回では大きく分けて3種類の解き方の問題を学ぶとします。(3種類はA,B,Cとしておきます)
普通に考えれば、同系統の問題を並べて、問題同士のつながりが分かりやすくした方がよさそうに思えます。
つまり
Aの基本→Aの標準→Aの応用→Bの基本→Bの標準→Bの応用→Cの基本→Cの標準→Cの応用
のように学んでいけば、問題がレベルアップしていることが分かりやすいです。
しかしサピックスのテキストはこのような構成にはなっていません。
Aの基本→Bの基本→Aの標準→Cの基本→Bの標準→Aの応用→Cの標準→Cの応用→Bの応用→Cの応用
のような順番で問題が並べられています。
一見しただけではその問題がどの系統にあるものなのか、分かりづらくしています。
なぜこのような構成にしているのでしょうか? SAPIXから公式の見解が出ているわけではありませんが、算田の考えを書いていきます。
「この問題はどの解き方を使えばいいんだろう?」と考える回数を増やす
算数の問題を解くには大きく分けて2つの段階があります。
どんな解法を使えばいいか、方針を考える段階と
方針が決まった後で具体的な計算をする段階です。
一般的な問題集のように似た問題を順番に並べると「この問題も前のページの問題と同じような考え方で解けるに違いない!」という予想で解いてしまいます。
しかしサピックスのように問題掲載順がバラバラなことによって、一見しただけではその問題がどの解き方をしたらいいのか分からなくなります。
その問題がどんな流れの中にあるどの系統の問題で、どの問題と似ているのか? ということを自分で考えないといけなくなります。
考える回数が自然と増えることがサピックス算数テキストの特長です。
あえて分かりにくいテキストを渡すことで生徒に負荷をかけて、自分で問題を分類して整理することを促しています。
つまりサピックスの算数テキストの目的は「分かりやすさ」ではなく、「トレーニング」です。
生徒を鍛えることに主眼が置かれた構成ではないかと思っています。
次はこの形式のテキストの弱点を書いていきます
苦手な子にとってはただの分かりにくいテキスト
前述したように問題の掲載順がバラバラなので、その問題がどの系統の問題なのか一見しただけでは分からないようになっています。
問題を解く中で自分で気づき「あ!これはさっきのあの問題と似てる!」と気づける子にとっては良いトレーニングになります。
しかし算数が苦手で、自分ひとりでは気づけない子にとっては、ただの分かりにくいテキストになってしまう場合があります。
弱点はもうひとつあります。
後から復習がやりにくい
後になってから、例えば「旅人算の追いつきの問題が苦手な気がする。過去のテキストを解きなおして勉強しよう」と思ったとしても、その問題を探すのは大変です。
サピックスのテキストには目次がなく、問題の冒頭に「テーマ:追いつきの旅人算」のようなタイトルもついていません。
専門家の講師が見れば分かりますが、一般の保護者がそれを判別するのは大変かと思います。
一度分からなくなってしまうと後から復習がやりにくいというのも、サピックスの弱点の一つでしょう。
まとめ
ある程度以上の子にとっては非常に鍛えられる良いテキストです。しかし算数が苦手だというお子様が自力で克服しようとするには、ややハードルの高い内容になっていると思います。
お父様お母様が勉強を教えられる際などに「どうしてこんなにバラバラと分かりにくいテキスト構成になっているんだ?」と疑問に思われたことがあったかもしれません。
その理由について算田の見解を記事にしました。参考にしてみてください。
予告編
ではサピックスのカリキュラムは、算数が苦手な子にとって良い点はないのでしょうか?
実はそうでもないのです。 苦手な子にとって非常にありがたい仕組みが沢山あります。
しかしそれを活用できていないご家庭が多いのも事実で……
今度の記事では「算数が苦手な子のサピックス活用法」を書いてみたいと思います!