今年の中学受験は新型コロナウイルス(COVID-19)の影響で異例尽くしです。
一部の小学校では、早くも夏休みの短縮が発表されたようです。
未発表の地域・学校についても、大なり小なり夏休みの短縮は避けられないでしょう。
これに伴って、中学受験生のご家庭は悩むことが増えます。
学習の進度は大丈夫なのか、サピックスや早稲田アカデミー、日能研などの夏期講習に参加することは出来るのか。など……
しかし!これらも大事なのですが、見落としがちで、かなり大きな影響が出るのではないかと心配していることがあります。
それは「受験生モード」への切り替えスイッチをいつ押すかという問題です。
これはうっかり何も対策しないでいると、直前期になって焦ることになりかねない……そう心配しています。
どういうことなのか? 説明していきますね。
記事の前半では、なぜ夏休みが短いことが影響するのかという理由について説明します。
後半では、今年の受験生が「受験生モード」に変わるためにはどうしたらよいのか、その対策をお話していきます。
まずは例年の受験生の心の動きを解説していきます。ここではサピックス生を例に出しますが、他塾でもほぼ同じだと思ってください。
①2月~4月「新6年生だ!土特が始まったし、大変だ~でもまだテレビを見たりたまに遊んだりする時間もあるなー」
②5月ゴールデンウィーク「GWの特訓授業(GS)がこんなに大変だとは……一日中勉強して疲れたよ。でも受験に向けてこれくらい勉強しないといけないんだな」
(関連記事:SAPIXのGS特訓は終わらないのが普通!)
③5月~夏休み前「GWの特訓で頑張ったから、普段の勉強が少し楽に感じる。今まで以上にがんばるぞ~」
④夏休み「アワワワワ! 毎日夏期講習があるのに宿題がいっぱい! その日のうちにやれるだけやっておかないと! めちゃくちゃ頑張らないと終わらない! 毎日がお祭りだ~」
⑤夏休み明け~冬「夏期講習は終わったけど、SS特訓(日曜日の授業)とか自宅での過去問演習が始まって大変さは変わらない~やってもやっても終わらない~あわわわわ」
⑥直前期~入試本番「あれだけ毎日勉強やったんだからもう大丈夫! 絶対合格だ!」
大雑把に書くとこんな感じです。
注目してほしいのは、夏期講習から夏明けにかけての移行です。
夏期講習では、塾の授業がこれでもかというくらいにパンパンに詰まっており、それでありながら宿題が大量に出ます。
これをこなそうと思うと、必然的に時間を全て勉強に投入しないと間に合わなくなります。
つまり、塾主導で必然的に「受験生の生活」への変化を余儀なくされます。
塾のカリキュラムに乗っていれば自動的に受験生へと変貌するスイッチが押されるのです。
そして夏期講習が明けると、日曜日の授業が始まるため、家庭学習に充てられる時間はさらに減少します。
その中で過去問演習が入ってくるので、時間的余裕はほぼありません。
夏休みと同様、時間のすべてを勉強に投入しないと間に合わなくなります。
ここで注目してほしいのは、夏休み明けは、家庭で大量の勉強時間を確保しなければならないという点です。
夏期講習では、塾での講義中心の「全部の時間勉強する」という生活に慣れています。
そのため、スムーズに家庭学習中心の「全部の時間勉強する」という生活に移行できるように配慮されています。
言い換えると、夏期講習により自然と「受験生モード」に変身するため、秋以降の過去問演習などの家庭学習に耐えられる体が作られるということです。
早稲田アカデミーの合宿の目的もここにあります。
合宿の数日で学んだことが役立つというよりは、一日中勉強するという経験を(半強制的に)積むことができる点に最大の効果があります。
さて、ここで今年の受験生に話を戻しましょう
言うまでもなく、今年は夏期講習が例年より短くなることが予想されます。早稲田アカデミーの合宿も、おそらく開催されないか、規模の縮小を余儀なくされるでしょう。
私が危惧しているのはこの点です。うっかりしていると、受験生への変身スイッチが押されないまま直前期を迎えてしまい、いまいち気合が入らないまま入試を迎えてしまう……なんてことにならないかと心配しています。
対策
では今年の受験生はどのようにすれば良いのでしょうか
私が提案するのは「小学校の再開」を起爆剤として利用するという作戦です。
下のイメージ図をご覧ください
休校以前は、学校があり、家庭学習の時間があり、塾の時間がありました。まだ5年生・新6年生の時期でしたので、集中力はそれなりだったでしょう。
そして小学校が休校となり、大きな時間を確保できるようになりました。
多くのご家庭は、この機会に苦手対策や復習などを進めたことでしょう。
今までと同じ集中力とはいかないでしょうが、時間が増えた分総勉強量は増えたと思います。
(集中力が少し低下した分、少し薄めの赤で塗っています。)
そして次が肝心です。早晩小学校が再開し、家庭学習に使える時間は休校以前と同じ水準に戻るでしょう。
ここで、勉強量を減らさないでほしいのです。
今までは時間があったから弱点対策をしていましたが、同じことを学校が始まってからも続けてほしいのです。
そのためには、だらだらしている時間や、ただ何となくテレビを見ている時間などを削るしかありません。
「時間はないけどやらなきゃならない」という環境を作ることで、受験生モードへ切り替えるきっかけにすることを提案します。
これは先ほど説明した通り、例年大手の塾で夏期講習中に行われている仕掛けです。
毎日塾の授業があって時間がないけど宿題はたくさんある。という状況を作り出します。
これを学校の授業と弱点対策で代用するのです。「時間はないけどやることはたくさんある」という環境を自然と作り出す絶好のチャンスです。
もしかすると、ここを逃すともうこんなチャンスはないかもしれません。
例年の受験生より少し早いですが、小学校の再開をお子様が受験生モードへと変身するための仕掛けの一つとしてみてはいかがでしょうか。
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