算田数太郎ブログ内では何度か言及してきましたが、5年生算数の最大の壁は「比」です。
多くの大手塾では、5年生の夏期講習又はそれ以降の授業内で扱われます。
例えば予習シリーズ5年下では、9回「規則性」と17回18回の「図形の移動」以外は全て何らかの形で比が関連した単元になります。
4年生や5年生の前半で学習した平面図形・速さ・食塩水・売買損益・容器と水量などのあらゆる分野を、比を利用して解くようになります。
ここから二つのことが分かります。
①比が苦手になるとこれ以降算数の全てが苦手になる
②比と複合しない段階ですでに苦手にしている単元がある場合、これ以降その苦手が加速する。
①の方は分かりやすいと思います。比が苦手だということはイコールで算数が苦手なのだといっても過言ではありません。
今回の記事では②の説明とその対策について書いていきます。
既に苦手な単元がある場合何が起きるか
比の学習に差し掛かる段階ですでに苦手な単元がある場合何が起こるのでしょうか。
比の学習を進めながらそれ以前の内容を復習しないといけないくなるので、非常に大変になります。
例えば「旅人算と比」では、2人の速さの比であったり、目的地に到着するのにかかる時間の比であったりを利用して問題を解きます。
最も初歩の段階だと、「速さ×時間=距離」の辺りの計算が自在に使えない状態で比との複合を学習するのは不可能です。
もう少し先の段階でも、例えば旅人算の線分図が描けないと比の利用方法に気が付けなくなります。
旅人算と比の学習をしていて解けない問題があった時に、比の利用方法と線分図の作成を1問の中で一度に学ばなければならないとなると、負担が大きすぎます。
本当なら比の学習への突入は「仮免試験」にしたい
理想論を言えば比の学習に突入するべきタイミングは生徒一人ひとりによって違います。
それまでの単元が、完璧ではないにしろ、ある程度の習熟度に達してから、満を持して比の学習を開始したいのです。
習熟度が遅い子であれば比の学習は5年後期の中盤まで遅らせたいですし、理解が早い子であれば5年の夏前から一部比の考え方を導入したいと思います。
しかし集団塾では全員一律のカリキュラムが組まれているので、その方針に合わせないといけません。
特に気を付けなければならないのは算数を苦手としている子の方です。
教習所の中での運転がおぼつかないのに路上教習に出るようなものです。
塾の学習が比に入る前に、最低限の右折左折に相当する部分まではやっておかないと困ることになります。
家庭での「復習」での復活がまだ可能
家庭教師や個別指導を付けた方が良いのは当然なのですが、そこまでは難しいというご家庭も多いかと思います。
5年生の夏休みは、家庭学習や塾の復習という範囲で算数の成績を復活させることがまだ間に合います。
7月~8月の間に、次の単元で極端に苦手な単元が残らないようにしましょう。
・割合
・食塩水、売買損益
・平面図形
・旅人算
最低限目指しておきたいレベルの目安を示しておきます。
予習シリーズで言えば「基本問題」は大体が解けて、「練習問題」は解けたり解けなかったりするくらいの状態です。
サピックスで言えば「Bプリント」くらいまでは大体解けて「C」が解けたり解けなかったりするくらいの状況です。
このくらいまでになっていれば、路上教習をしながら練習して成長するような流れに乗ることができます。
これ以下ですと、路上に出た瞬間に事故になってしまうので練習になりません。
何としても路上教習に出れるくらいまでに。比の学習が始まるまでにそれ以外で重要な単元を最低限大丈夫なところまでレベルアップさせましょう!
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