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偏差値30からの中学受験算数 指導法 算数の解法・技術論

仕事算【偏差値30からの中学受験算数】

偏差値30台の生徒でも仕事算が理解できるようになるためのポイントを解説します。
「仕事算」と呼ばれる単元には共通したポイント・目的があります。
ご家庭内で指導・解説される際は、「能力の比」と「全体の仕事量」の二つのポイントを意識して指導されるとよいと思います。
詳しく説明していきます。

仕事算とは何か【前提】

「え、そんなところから説明しないといけないの!?」と思われそうな、本当に基礎の基礎よりさらに手前の、大人なら誰でも持っている前提意識をまず子供と共有します。
前提条件が共有されていないと、何を解説しても頭に入っていきません。
例えば「ほら、ホンダのVTRとドゥカティのモンスターって似てるじゃないですか?」と突然言われたとしても、ほとんどの読者の方は「はぁ!?」ですよね。
これはバイクのデザインの話題なのですが、そもそもこれがバイクの話題だと気づけた方も少数なのではないでしょうか?
算数においても前提知識が共有されていないと、これに近い状況が起こり得ます。

仕事算で扱う仕事とは

まず最初に子供に伝えておきたいことは次の内容です。
仕事算で扱う仕事は、例えば「折り紙で鶴を1000羽折る」みたいな単純な仕事です。これは一人でやるより二人でやった方が早く終わるし、十人でやったらもっと早く終わります
しかし、現実の仕事はそうではないものが多いです。

例えば台所で料理を作るという仕事。一人でやるより二人でやった方が早く終わるけど、10人でやったらどうなるかな? 台所がぎゅうぎゅうづめで逆に効率が落ちそうだ。
塾の授業だって、十人の先生が同時に解説したからって十倍効率がよくはならない。
現実の仕事は、人を増やせばその分早く終わるなんてそんな単純な話ではないけど、算数では「折り紙で鶴を折る」みたいな単純な仕事だけを扱います。


これを最初に宣言しておかないと、根本のイメージを持てずにいつまでもモヤモヤしてしまうことがあります。
大人からすると「そんなの当り前じゃないか!」と思えることでも、子供にとってはそうではないので、当たり前に思える前提も丁寧に共有してあげることが大切です。

人月(にんげつ)の考え方

仕事算では「仕事量を数値で表す」という概念を理解する必要があります。
その理解の助けとなる「人月」という単位がありますのでご紹介します。
人月についてはこちらの記事に詳しく書いていますのでご覧ください。

参考仕事算の導入に便利な単位「人月」について!(にんげつ)

こんにちは。祝日や私立小学校の入試休みなどで午前中から授業をすることが多く、しばらくブログ更新できていませんでした。 今日は少し軽めのテーマを。仕事算の導入で、例えば「5人の人が4か月で終わる仕事を、 ...

続きを見る

人間の能力には差がある

人間の能力には差がある、ということも最初に共有しておくべき前提です。
「大工歴20年のベテラン大工さんと、大工見習3日目の大工さんでは仕事のスピードが違うよね」
という点を理解できていれば大丈夫です。

これで、仕事算の解説を始める前提が生徒と共有されました。
普通の塾の解説ではこの部分は飛ばされます。「まぁやってるうちに分かるでしょ」という感じです。
偏差値30台から算数を逆転するためには、こうした「暗黙の了解」をすべて言語化して子供に伝える必要があります。

ポイント①全体の仕事量を求める

仕事算で大切な考え方に「全体の仕事量を求める」があります。
この概念を理解するために必要な前提を順番に説明します。

仕事がだんだん減っていくイメージ

問題:わるいまものがいました。わるいまもののHPは60です。勇者が「パンチ」の攻撃をすると5のダメージを与えられます。何回の攻撃で倒せますか?
(ゲームによくあるHPのシステムを理解できるお子様用の解説になります。全くゲームをやったことがない子の場合は、別の例を使います)
もちろん答えは12回です。
この問題は分かったでしょうか? では次に行きます。

問題:わるいまものがいました。まもののおでこには「じゆうけんきゅう」と書いてあります。そう、あの大変な夏休みの宿題の自由研究です。自由研究のまもののHPは60です。太郎君は、毎日「5」ずつ進めていきました。何日目に終わりますか?
答えはもちろん12日目です。
「仕事の大変さを数値化する」イメージと「仕事をこなすと毎日少しずつ減っていく」というイメージが共有できました。
これ、大人は当たり前だと思いがちですが子供にとってはそうではありません。ここのイメージが持てないことで仕事算をつまずいてしまう子は多いです。

仕事を積み上げるイメージ

問題:太郎くんは毎日「5」のダメージをまものに与えます。14日でまものを倒せました。まもののHPはいくつでしたか?
答えは5×14=70です。

問題:太郎君は毎日「5」の仕事をします。12日目に仕事が全部終わりました。仕事は全部でいくつありましたか?
答えは5×12=60です。

ここで、仕事算で最も大切なポイントである「全体の仕事量」を求めるイメージをつかみます。

仕事算の問題文に近づける

問題文を仕事算の形式に近づけます。
問題:Aさんの能力は③です。Bさんの能力は②です。ある仕事をAさんがやると20日かかります。Bさんがやると何日かかりますか?

解き方としては、まず「全体の仕事量」を求めます。つまり
③×20=60 と、仕事を数値で表現します。次に、この仕事をBさんがやるので
60÷②=30日 こんな感じです。

もう少し仕事算の問題文に近づける

問題:AさんとBさんの能力の比は3:2です。ある仕事をAさんが一人でやると30日かかります。この仕事をAとBの二人でやると何日かかりますか?

解き方は、まず全体の仕事量を出します。
Aの能力である③に30日をかけて、90が全体の仕事量となります。
AとBの二人の能力を合体させると⑤なので
90÷5=18日 となります。

ここまで理解できれば、仕事算の基本は半分理解できています!

ポイント②能力の比を求める

今までの問題は実際の問題とは何が違うのか?

ここまで練習してきた問題は、実際に教科書に載っている仕事算の問題とは異なります。
何が大きく異なるかというと、実際のもの問題は「AとBの能力の比は3:2です」とストレートには書いてないんです。
もう少し回りくどく分かりにくい形で書いています。
例えば
「Aさんが2日で終わらせる仕事をBさんは3日で終わらせます」のように書いてあります。
この文章は、つまり「AとBの仕事量の比は3:2です」ということを表しています。


※この部分が理解できない場合は逆比の解説・勉強が必要になります。それは長くなるのでまた別の機会に。

実際の仕事算のような形式で練習

問題:Aさんが5日で終わらせる仕事をBさんは3日で終わらせます。ある仕事をAさんが一人で終わらせるのに15日かかります。この仕事をBさんが一人で終わらせるには何日かかりますか?

仕事算で大切なことは「AとBの能力の比」と「全体の仕事量」です。これはどの仕事算の問題でもほぼ共通です。
AとBの能力の比は、5日と3日の逆比で3:5です。
全体の仕事量は、Aさんが15日かかるので
3×15=45 です。
この仕事を、能力⑤のBさんがやるので
45÷5=9日 となります。

少し違う形で練習

問題:ある仕事を終わらせるのに、Aさんは120日、Bさんは72日かかります。この仕事をABの二人でやると何日かかりますか?

まずは「能力の比」を求めます。
AとBの能力の比は120:72の逆比で3:5です。
次は「全体の仕事量」を求めます。
Aさんが120日なので、3×120=360 が全体の仕事量です。
この仕事をABの二人でやるので
360÷(3+5)=45日 となります。

まとめ

仕事算の基本・根本は以上です。
他にも細かいテクニックはたくさんありますが、それは別の記事に回します。
今回は、どの参考書にも書いて無く、ほとんどの講師の解説からも省かれてしまっている「前提」を言語化した記事になります。

算数が苦手な子とは、普通の大人が「当たり前」として通り過ぎてしまうような前提のところでつまずいてしまっています。
これはたくさん問題を解いても解決しませんし、普通の講師の授業をたくさん受けたところでわかるようにはなりません。
だって、一番わからない原因である「前提」が省かれた説明になっているからです。

算数が苦手な子が分からなくなる原因である「前提」を言語化した記事を今後も更新する予定です。
ご家庭で保護者の方が解説する際の参考にしてください!!

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