開成の元校長である柳沢幸雄さんの書いた記事がヤフーニュースに掲載されていました。この中で言及されている「成長曲線」について書いていきます。
ヤフーニュースの記事も合わせて読んでみてください。
成長曲線とは
あらゆる成長は「成長曲線」と言われるS字カーブを描くとしています。
練習し始めのころはなかなか目に見える成果が出ず、ある地点を通過すると急激に成果が出始めるというものです。
例えばピアノの練習をする際に、やり始めのころは「ここがド、ここがレ」のように一音一音意識しないと音が出せませんが、ある程度習熟すると自然に指が動くようになります。
そうすると一気に様々な曲が弾けるようになり、練習の成果が目に見えて急激に出るようになります。
受験算数の成長曲線
さて中学受験の算数にも同じことが言えます。
勉強し始めのころは、単元同士がつながっておらず、テキストを勉強してもテストで少し違う問題が出ると解けなくなり、成果が実感しにくいです。
まるで勉強してもなにも成果が出ないように感じられてしまいます。
しかしある程度勉強が進むと単元同士の横の繋がりが分かるようになり、ここまでくるとテストで点数が取れるようになります。
S字カーブの最初の位置、勉強し始めのなかなか成果が出ない時期を柳沢氏は「雌伏期間」と呼んでいます。
ここを超えれば急激な成長が待っているのですが、雌伏期の間は練習してもしてもなかなか成果が出ない、暗中模索の時期です。
現状で算数を苦手としていて中々成果が出ていないご家庭は、まずこの雌伏期間を抜けることが目標となります。
雌伏期間を抜ける方法・指導者の役割
雌伏期を抜けるのが難しいのは、成果が目に見えないからです。
点数が上がるのは雌伏期を抜けてからなので、それまでは頑張ってもテストの点としては反映されません。
するとまるで成長していないように感じてしまい、モチベーションが上がりません。保護者としても不安になります。
ではどうすればいいのでしょうか。成長していると生徒本人に思ってもらうことが必要になります。
しかしテストの点数には反映されません。どうすればいいでしょうか。語弊を恐れずに言えば、指導者による演出です。
テストという客観的な基準では成長が可視化できないので、主観的な基準での成長を強調します。
つまり先週の自分が出来なかったことが出来るようになっている。昨日は解けなかった問題が理解できるようになっている。
小さな成長を指導者が気付かせてあげることが大切です。
「小さなことを大げさに褒める」を続けている内に雌伏期を脱し、自分で自分の成長を感じて独り立ち出来るようになります。
最初の助走期間は、指導者の手で達成感を多めに演出してあげましょう。
これは指導者にとっても精神的に大変なことです。
必ず石油が出ると信じて砂漠を掘り続けることに似ています。掘り当てれば一気に石油が吹き出ますが、それまでは乾いた大地を掘り続ける精神力が試されます。
算田のこれまでの指導経験から、信じて教え続けた子で成果が出なかった子はいません。
程度の大小はあれ、みな必ず雌伏期を抜けて、テストという客観的な指標で結果が出せるようになりました。
根気と信念と精神力。これが小学生への指導には大切だと忘れないようにしています。