皆様は「ラバーダック法」や「ラバーダックデバッキング」という言葉を聞いたことがありますでしょうか?
プログラミングの世界でバグ(ミス)を発見して修正する(デバッグする)ための手法の一つです。
この方法は中学受験にも応用することができるのでご紹介いたします。
ラバーダック法とは?
ラバーダックとはアヒルのおもちゃのことです。
プログラマが組んだプログラムに何かバグが出ることがあります。(というより作成段階では何度もバグが出ます。)
バグとは、書かれたコードのどこかに間違いがありプログラムが正常に動かなくなっている状態のことです。
どこが間違っているのかを見つけるのが大変です。
間違えている箇所を特定するために使われる手法が「ラバーダック法」です。
やり方は簡単。机の上にアヒルのおもちゃを置き、アヒルに向かって話しかけるのです。
例えばこんな感じです。
「あのねアヒルさん。テスト結果をまとめたシートから、6月のみの平均値を求めるプログラムを書きたかったんだ。だからA列に「6」と入力されていた場合にだけB列の数値を取得して、その合計を……」
のようにアヒルに話しかけることで自分の思考を整理していきます。
頭の中を整理することで、プログラム中のミスを発見しやすくなります。
アヒルやぬいぐるみのような無機物に対して話しかけるだけでも思考が整理されるという面白い方法です。
家庭教師指導でのラバーダック
家庭教師の指導の際にもこの考え方は応用しています。
例えば生徒の書いた式の途中に計算ミスがあったとします。その際にミスした箇所を直接指摘せず、自分で気づくように促します。
計算結果の数値(途中にミスがあるので、当然間違った数値です)を差して「この数字はどうやって求めたの?」のように聞いてみます。
すると生徒は「まずこれをこの数字で割って速さをだして、それで~」のように説明してくれます。
そしてミスの箇所まで来ると「あっ!」と気づいてくれます。
もしもここで気づかないようならば、それはミスではなくて考え方が理解できていないということですので、根本の部分から解説し直します。
指導者側からすると、ミスなのか本質の理解ができていないのかを判別するのに役立ちます。
ご家庭でできるラバーダック
ご家庭内でもラバーダックは活用できます。
といっても、お子様にアヒルに向かって話しかけるように言うのは難しいでしょう。
お父様お母様に向かって解き方を説明してもらうのです!
保護者様は解き方が分かっていなくても大丈夫です。ただお子様の話を聞いて、うんうんと言っていればOKです。大体合ってそうなことを言っていたら、最後に「よし!」とでも言ってあげてください。
子供はお父さんお母さんに話を聞いてもらうのは大好きでしょうから、ぜひ聞いてあげると良いです。
特に何も教えなくても大丈夫です。ただ聞いてあげているだけでも学習効果があります。
以前書いたこちらの記事も参考になると思います。
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一人でラバーダック
最終的には一人でテスト中にミスを発見して修正できるようにならないといけません。
そのためには「一人ラバーダック」つまり自己対話です。
生徒達には式を書きながら、自分が何をやっているのか常に俯瞰して全体を見通しながら計算を進めていけるようになってもらいます。
これを小学生にいきなりやらせるのは無理です。
「式を書きながら全体を見通しなさい!」なんて言われただけできる子はいません。
そのために普段から練習が必要です。
生徒にやらせたいことがある場合は、直接「これをやりなさい!」と言うのではなく、自然とその力が身につく方法を考えて遠回しに誘導するのが吉です。
自分でミスを発見する経験を一回でも多く積ませることが、長期的に徐々にではありますがミスを減らす方法です。指導者は自分でミスを発見できるように誘導します。
解き方の全体像を見通せるようになるためには、他人に説明させるのが一番簡単な方法です。生徒の言葉で解き方を誰かに話す機会を作りましょう。
お父様お母様は、時にアヒルになり切ってお子様の話を聞いてあげるだけで算数の成長に役立ちます!ぜひお試しください。