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文章題苦手

【小学4年生】文章題が苦手な子をご両親が教える際の落とし穴【文章題のクイズ大会化】

「うちの子は文章題が苦手なんです」というお悩みをよく聞きます。
小学4年生くらいですと、家庭教師や個別指導をつけるよりは、お父様お母さまが教えてあげようとすることが多いと思います。
問題自体は簡単ですからね。

その際に気を付けていただきたいことがあります。
普通に教えようとすると、子供は思いもよらないところでつまずいていたりします。

特に今年の小学4年生は、新小4で塾に通い始めたと思ったら、いきなりコロナの影響で家庭学習を余儀なくされているというご家庭も多いのではないでしょうか。
家庭学習の比率は大きくなっています。

親御様がお子様に算数を教える場合。特に文章題が「ものすごく苦手」というお子様に教える際に持っておいていただきたい視点をご紹介します。

キーワードは「文章題のクイズ大会化を避ける」です。

今回の記事は前半と後半に分かれています。
記事の前半は「文章題のクイズ大会化とは何か」
記事の後半は「親御様が教える際に気を付けた方が良いこと」
です。

文章題のクイズ大会化とは何か

まずは例題を2つ紹介します。小4の生徒に出題すると、片方の正答率だけが明らかに低くなります。

問題1:4年1組には生徒が13人います。クラスの生徒みんなにリンゴを4個ずつくばるには、リンゴは何個あれば良いですか?

問題2:4年1組には生徒が12人います。クラスの生徒みんなにリンゴを4個ずつくばるには、リンゴは何個あれば良いですか?

いかがでしょうか?もちろん問題1の答えは52個で、問題2の答えは48個です。

この2問の正答率が大きく異なると言ったら、皆様は驚かれるでしょうか。

実は問題2の方が確実に正答率が下がります。

何が違うのでしょうか?
問題1は、13÷4が割り切れないのです。
詳しく説明します。

文章題が苦手な子は、基本的に文章を読んでいません。
苦手な子が文章を読んだ際の頭の中を、模式的に下に表してみました。

問題1:4年1組には生徒が13人います。クラスの生徒みんなにリンゴを4個ずつくばるには、リンゴは何個あれば良いですか?

このように「13人」と「4個」しか認識していないような読み方をしているケースが結構多いです。
それ以外の日本語の部分はノイズであるかのように処理されて、意識されていません。

つまり苦手な子はどう考えているか。
「数字が2つ出てきているし、掛け算か割り算のどちらかだろう。13÷4は割り切れないから違う気がする。きっと掛け算だ!13×4=52! どう?合ってる?やった当たった!!!」

こんな感じです。
だとすると、冒頭の問題2の方が難しい理由もお分かりいただけるでしょう。

そうです問題2は登場する数字が「12」と「4」ですので、割り算したとしても答えが割り切れてしまうのです。
「3」という誤答が多発します。

まさかと思われる方もいるかもしれませんが、多いです。
こういった生徒にとって文章題とは「文章を読んで意味を理解するもの」ではなく
「登場する数字を拾って、ありそうな計算をして答えを書くもの。当たったり外れたりする」
だと思ってしまっています。
これがタイトルにも書いた、避けるべき「文章題のクイズ大会化」です。


少し本題からは外れますが、このクイズ大会化した読み方というのは、人工知能の専門家である新井紀子さんが著書「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」の中で指摘している「AI読み」という読み方そのものです。

詳細は省きますが、AIによる文章の読み方は、登場する数字やキーワードを拾い読みして、前後の関係や構造を推測し、最も可能性が高いものを採用するような方法でなされるそうです。

今後人間の仕事がAIに置き換わるとよく言われていますが、現在AIが最も苦手としている分野のひとつが「文章の意味の読解」なのだそうです。

つまり文章読解は人間がAIに勝てる可能性のある分野の一つなのですが、今の子供たちもAI同様にこの「文章の意味の読解」は苦手としているのだと書かれています。
今の子供たちの読解力の現状と、今後AIに負けない子に育てていくためにはどうしたらよいのかなどについて書かれています。
2019年ビジネス書大賞を受賞しています。下にリンクを貼っておきます。


さて生徒の読解がAI読みになっているところに話を戻します。
このクイズ大会化した文章題読解のやっかいな所は、表面上理解したように見えてしまう点です。
問題が「13人」と「4個」であれば、問題なく52という正解を解答欄に書くことができます。意味を一切理解していないにも関わずです。

これは本当に恐ろしいことです。

親御様が教える際に気を付けた方が良いこと


小学4年生のお子様への指導であれば、ご両親が即興で文章題を作ってお子様に出すこともあるでしょう。
その際に、数字の設定を掛け算でも割り算でもどちらでも可能な数字」にしていただきたいです。

人間というのは出来るだけ楽をしたい生き物です。
「AI読み」でクイズ大会をするだけで答えが出せるのならば、文章の意味を理解しようなんて思いません。
統計的に考えて、文章題で「13人」と「4個」という数字が登場したら、きっと答えは掛け算です。確かにその推測は多くの場合当たるでしょう。
それならば苦労して意味を理解するよりも、とりあえず掛け算して解答欄に52と書いた方が楽です。ですがこれでは勉強の意味がありません。

このようなAI読みでは太刀打ちできないということが分かって初めて、意味を理解する必要性を感じてくれます。
小学4年生に問題を出すならば、数字の設定は「12人」と「4個」のような関係にすべきです。

出来る限りパターンを変えて、数字や文章構造が固定化しないように、手を変え品を変えて練習すると良いです。
小学4年生の指導では、問題自体は簡単ですが、その指導法は技術が必要です。

今回は一番の基礎編として、文章題の数値設定を工夫することで「クイズ大会化」を避けるというテーマでお話しました。
もちろん他にもいろいろと気を付けるべきことはたくさんあります。

普段は小6の受験生向けの記事が多くなりますが、小4のお子様向けの文章題についてもこれから何回か連続で書いていきたいと思います。
次回は 「そんなところが!?文章題・意外な『分からない言葉』」で書いていきます。

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