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文章題苦手

そんなところが!?文章題・意外な『分からない言葉』【中学受験の小学四年生or受験しない子向け】

小学4年生で中学受験を始めたばかりの子にとって、意外と分かりにくい言葉・表現を紹介していきます。
前回の記事の続きです。前回の記事はこちら

今回の例題は
「6人の子供がいます。1人3個ずつリンゴを配るには、リンゴは何個いりますか」

この問題には、少なくとも2か所、抽象的で分かりにくい表現があると考えています。
(今回は小学4年生くらいの、中学受験を始めたばかりの子を想定して書いていきます。また受験をしない、公教育のみのお子様にとっても役立つ内容になると思います)

特に後半の「ずつ」は、分からなくて困っているお子様が意外と多い印象です。

①6人の子供

早速ですが、冒頭の「6人の子供がいます」で思考がフリーズしてしまう子がいます。
大人からすると「なんで!?」と思ってしますよね。まさかこんなところで引っかかっているとは思いません。

ただ、このように言い換えると理解してくれることがあります。
「一郎、二郎、三郎、四郎、五郎、六郎の6人の子供がいます。」

これなら大体の子が理解してくれます。
もう少し詳しく説明しますね。

「6人の子供」という表現は、実際には「一郎、次郎~」のように名前と個性を持った人間が6人いるのですが、それをひとまとめにして「6人の子供」としています。
具体的な人間を「6」という数字でまとめているのです。
抽象化された表現を読んで、頭の中にリアルに6人の子供を思い描くことは、ある程度難しいことです。

大人の感覚からすると、簡単すぎてなかなか理解し辛いでしょう。
大人の方に理解していただくために、以下の例文を出してみます。正しく読解できるでしょうか?

在外選挙人名簿に登録されていない年齢満二十年以上の日本国民で、在外選挙人名簿の登録の申請に関しその者の住所を管轄する領事官の管轄区域内に住所を有するものは、政令で定めるところにより、文書で、最終住所の所在地の市町村の選挙管理委員会(その者が、いずれの市町村の住民基本台帳にも記録されたことがない者である場合には、申請の時におけるその者の本籍地の市町村の選挙管理委員会)に在外選挙人名簿の登録の申請をすることができる。

はい! 読んでいただけましたか?
公職選挙法の第三十条の五を適当に引用しました。
いかがでしょうか。
条文中で使われている単語のひとつひとつで、全く意味の分からない言葉はなかったと思います。
ですが、どうでしょうか。読んで意味がとれましたか?

私ですか?もちろん一読してすぐに意味を理解できました。
……嘘です。全く読む気が起きなかったです!!!ただコピペしただけです!!!ごめんなさい!

一回読んだだけで完璧に意味を理解するのは難しいです。
じっくり腰を据えて読んで、やっと理解できるかどうかという所でしょう。

9歳前後の子供にとって、「6人の子供がいます1人3個ずつリンゴを配るには、リンゴは何個いりますか」という文章を読んだ時の反応は、私たちが公職選挙法の条文を読んだ時の反応ときっと同じなのではないかと思っています。

「一つ一つの単語の意味は分かるし、本気でじっくり考えれば分かるかもしれないけれども、意味を理解しようと頑張るのは疲れるからやりたくない。」
という気持ちは、きっと同じです。

そのような場合、初めは補助をつけてあげます。

「6人の子供っていうのは、例えば一郎、次郎、三郎、四郎、五郎、六郎の6人のことだよ」のように伝えます。
そうすることで、頭の中に一度 抽象→具体 の回路を作ります。
一度抽象からの具体化を経験しておくと、次から読みやすくなります。

算数の文章題の初心者に対しては、ある程度読みの技術やテクニック、ルールを教えてあげることは必要だと思います。

例えば一般人が法律やお役所の文を読む際に知っていると便利なテクニックとしては「かっこ書きの中は最初は飛ばして読むと分かりやすい」であったり「『政令の定めるところにより』は無視して読んでも意味はほぼ変わらない」のようなものがあったりします。

先ほどの条文の後半を、このテクニックを使って書き換えてみます。元の文章は

政令で定めるところにより、文書で、最終住所の所在地の市町村の選挙管理委員会(その者が、いずれの市町村の住民基本台帳にも記録されたことがない者である場合には、申請の時におけるその者の本籍地の市町村の選挙管理委員会)に在外選挙人名簿の登録の申請をすることができる。

でしたが、これが次のように変化します。

文書で、最終住所の所在地の市町村の選挙管理委員会に在外選挙人名簿の登録の申請をすることができる。

大分スッキリと読みやすくなりましたよね。
ある程度のルールや読みの技術を知っていることは大きなアドバンテージです。
中学受験初心者への指導では、これの小学生バージョンをやっています。

②1人3こずつ

これもかなり抽象度の高い表現です。
「ずつ」の意味が分かっていない子は一定数います。

さて、「ずつ」の意味をどのように説明したらよいでしょうか。
広辞苑第六版によると

分量を表す語に付いて、一定量の事物を均等に割り当てる意を表す。

とあります。絶対伝わらないですとね。言い方をやさしく変えたところで、伝わる気がしません。
暴論かもしれませんが、学年が低い生徒には言葉と論理での説明は有効ではないと考えています。

出来るだけ具体的な状況を設定して、その中で「ずつ」という言葉を使うことで、用例を学んでもらいます。例えば
「一郎、二郎、三郎の3人にリンゴをくばりました。一郎さんに5個配りました。二郎さんにも5個配りました。三郎さんにも5個配りました。そうだ、3人の人に5個ずつ配りました。そうするとリンゴは全部で何個必要?……15個、正解!」

のような感じでしょうか。(思い出しながら書いているため、実際の会話とは異なるかもしれません)

ここまで①と②の2つの事例を取り上げてきました。
共通する点は
1子供は抽象的な表現の読解が得意ではない
2大人からすると思いもよらない表現で詰まっている場合がある
3具体例に落とし込んだ説明で理解してもらうことが有効

以上の3点が今回のまとめです。

簡単な内容というのは、親御様からすると「なんでこんなことも分からないの!」とイライラの原因になりがちです。
一見すると「物凄く簡単な問題なのにできない我が子」に見えてしまうからです。
しかしそんなことはなく、単に「ずつ」という単語の意味を知らないだけだったりします。
それが原因で親子喧嘩が増えてしまったり親子関係が崩れる原因となってしまったら悲しいです。

問題が解けないのならば、その解けない原因を特定して、一つ一つ壁を乗り越えていくことで前に進めます。
大人からすると簡単な問題で苦戦していたとしてもイライラしたりせず、冷静に教えてあげることができたらいいなと思いこの記事を書きました。

皆様の参考になればうれしく思います。

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