塾の面談で志望校についての話をする際に、塾側にはどのような都合が存在するのか整理しておきましょう。
塾とは言えども営利企業です。会社の利益を無視したアドバイスはできません。
これは意外と意識されていないかもしれません。
塾の講座を取るか取らないかの相談であれば、塾側の都合は分かりやすく「受講させたい」になります。塾も営利企業ですし、現場の校舎ごとにノルマのようなものもあるかもしれません。
しかし志望校面談における塾側の都合とは……?
整理してみましょう。
合格実績を上げたい
これは分かりやすいでしょう。「開成中学合格〇〇人!」というような実績を作りたいという思いは強くあります。
御三家やそれに準ずる学校など、広告の上段に大きな文字で書かれるような学校の合格実績は、翌年の集客を左右します。
成績上位生についてはなるべく難関校を受けてもらい、合格する可能性のある生徒を1人でも増やしたいと思っています。
そのため、合格の可能性が少しでもある生徒については「チャレンジしましょう!」というアドバイスになります。
(もちろんその子の人生を考えた際にもチャレンジが良い選択肢になるでしょうから、ここは塾と家庭の利害が一致しています)
全落ちを避けたい
忘れがちではありますが、塾は全落ちを避けたいと強く思います。
全ての学校に落ちてしまうと大きなクレームにつながることが理由の一つです。
(もちろん講師の個人的な思いとしても全落ちの生徒を出したくないのは当然です)
上の項目で「合格実績を上げたい」と書きましたが、これは上位校に限定されます。上位校とはつまり、塾HPの合格実績欄の上段に大きな文字で掲載されている学校のことです。
中堅校の合格実績が多少増減しても翌年の集客にはさほど影響しませんので、中堅層については「少しでも上を目指してチャレンジしよう!」というアドバイスをするインセンティブが失われます。
なので2番目の行動原理である「全落ちを避けたい」という基準が働きます。下位~中堅に向けては慎重派のアドバイスが多くなります。
可能性は低いが頑張れば中堅校に手が届くかも……という場合も、まずは安全校の合格をしっかりとりましょう、というような言い方をしがちです。
もちろんプロの目から見て無謀な受験プランを組み立てているご家庭に対してはブレーキをかけるべきです。
あくまで一般論として、安全策に流れやすい、という傾向は知っておいても良いでしょう。
後はごリスクをどこまで取るか、ご家庭の判断です。
退塾を阻止したい
これは最大の行動原理かもしれません。
特に下位クラス在籍者に対しては退塾阻止は重要です。
ご家庭が多少無理気味な志望校を言っていても、真正面から「無理ですね」ということはないでしょう。
そのようなことを言われた後で、他塾の説明会で「頑張れば可能性はあります!!一緒に頑張りましょう!!」のように熱く言われたら転塾されかねません。
塾を辞められたら困るので、志望校を真っ向否定するような言葉はあまり出ないでしょう。
まとめ
念のため言っておきますと、塾に相談すること自体は基本的に良いことです。
塾の先生はこの道のプロですから、保護者の知らない情報も多く知っているでしょう。
ただ彼らが利害関係者であることは忘れないようにしましょう。
塾の利害に関係しないことについては的確なアドバイスをくれます。
「家庭学習はどのようにやったらいいですか?」や「電流の分野が覚えられなくて……どこを復習したらいいでしょうか」などは的確なアドバイスがもらえるでしょう。
しかし塾の営業成績に関わる事項の相談をする際には注意が必要です。
「塾を辞めようかと悩んでいて……」や「オプション講座を取らないで家で勉強させようかと思っているんです」のような相談は必ず止められます。
「開成ではなくて某大学付属中学に変更しようと思うんです」という相談も、開成の合格可能性が少しでもあるならば止められやすいです。
「合格可能性は30%だけれど、1日はどうしても第一志望の某中堅中学を受けたいんです」という相談も、慎重論のアドバイスをされることが多いでしょう。
それが本当に的確なアドバイスの場合もあるでしょうし、塾の都合が優先されたアドバイスの場合もあります。
一概に全部ダメではありませんが、塾側の都合や何が優先事項なのかなど、ざっくりでも知っておくことは必要でしょう。
算田は集団指導塾を離れて久しいので内部事情の細部は異なるかもしれませんが、今でも大体この記事で述べたような感じかと思います。
参考にしてください。