中学受験の塾に通っていると、何度か「志望校調査用紙」のようなものを提出するように求められます。
「第一志望校 〇〇中学 第二志望校 △△中学」のように書いて提出します。
この時、どの学校を書いたら良いのだろう? 現在の偏差値とかけ離れた学校を書いたら怒られないか? 試験日が重なっている学校を書いても良いのか?
こんな疑問について、算田の考えを書いていきます。
結論としては時期にもよりますが基本的には「実際の希望・願望の通りに書いて構わない」です。
詳しく見ていきましょう。
※今後この記事で中学校の「偏差値」と注釈無しで用いた場合、その意味としては「大手塾が公表している80%偏差値」の意味で用います。
目次
6年生開始時・夏休み前の調査
まず多くの場合、新6年生が始まるタイミングや、夏休みの前のタイミングで志望校調査が行われます。
このタイミングの調査への結論としては「何を書いても良い。本当に行きたい学校を書いてOK」です。
なぜかというと、夏前の志望校調査は純粋に家庭の意向を知る目的が強いからです。
どの学校を調査用紙に書いたとしても、集団塾であれば指導内容が大きく変わることはありません。
単純に、本当の意味で「調査」しているだけです。
唯一指導が変わるケースで言うと、志望校別特訓のクラスが変わる場合です。
例えば志望校を「開成」とする場合と「麻布」とする場合ではコースが異なる場合があります。
ただそれは超上位校を志望する場合に限られます。
例えば志望校が「明大明治」なのか「青山学院中等部」なのかでコースが変わることはまずありません。どちらにしても同じコースになりますので、どちらを書いても大勢に影響はありません。
本当に行きたい方を書けばOKです。
さて、個別のケースについてみていきます。
現在の持ち偏差値より大きく上の学校
例えば現在の4科目偏差値が50くらいのお子様が、偏差値60台の学校を第一志望として記入しても良いのだろうか? 高望みだと笑われはしないだろうか?
こんな心配があるかと思います。
結論から書くと、全く問題ありません。
現状のテストの成績より10~15上の学校を第一志望として書くくらいであれば何の問題もありません。
20近く上になると、少し躊躇はしますがこれでもまだアリの範疇です。何か事情があるのなら私はアリだと思います。
同じ入試日の学校を第一志望と第二志望に入れる
これも問題ありません。
例えば「第一志望:開成中学 第二志望:駒場東邦中学」
のようなケースです。
これも全く問題ありません。
むしろ塾としては家庭の意向が分かるのでありがたいくらいです。
「あーなるほど。第一志望は開成だけど、今後の伸び次第では駒東も考えているのね。フムフム」と読み取れるので、何も問題ありません。
夏休み後の調査
夏休み後の調査でも、まだ本当の希望通りに書いても大丈夫だと思います。
現状の持ち偏差値よりも10~15上の学校を第一志望校として表明してもOKです。
ただ、現状の偏差値と志望校との乖離が大きい場合には、塾から併願戦略の立て方についてのアドバイスがあると思います。
塾がこの時期に志望校を調査する理由は大きく分けて2つです。「志望校別講座のコースを決める」と「危うい受験戦略の家庭を事前に察知する」です
前者の「志望校別講座のコースを決める」については分かりやすいでしょうから割愛します。
後者の「危うい受験戦略の家庭を事前に察知する」について解説していきます。
高望みが悪い訳ではない
まず最初に断言しておきたいのは「高望みが悪い訳ではない」という事です。
合格可能性が30%だとしても、単純に考えると10回に3回は受かる訳ですから、可能性は十分にあります。
そのうえ小学生はまだまだ成長途中の年代。急に成績が伸びるなんてことはザラにあります。
度を超えたケース(偏差値30で開成志望など)は別ですが、少しの高望みであれば問題はありません。
併願戦略の提案をしたい
ただ、合格可能性の低い学校を第一志望に据える場合は、併願校の戦略を綿密に立てる必要があります。
併願戦略の立案は、塾からすると心配の種です。
ご家庭に任せているととんでもないプランが出てくることがあります。
ご家庭が立てたプランでは「第二志望校と第三志望校」となっている学校が、塾から見ると「全部チャレンジ校じゃないか!」と言いたくなることは良くあります。
そんなときには、塾が軌道修正を持ち掛けてくれます。
つまり「このプランだと全滅の可能性があります。もう少し安全度の高い学校も受験校に組み入れましょう」といったアドバイスをしてくれます。
ご家庭が提出してくるプランが特攻計画であると気づいてもらうことも塾の役割になります。
早期に特攻計画だと気づくメリット:学校見学に行ける
ご家庭で考えていたプランが特攻計画だという事に早めに気づくことは大切です。
なぜなら、新たに検討する併願校の学校見学に行く時間が残されているからです。
直前の12月・1月になってから新たな受験校を検討しようにも、学校見学に行く時間が残されていません。
実際に何月何日にどの学校を受けに行くか? は冬になってからでも間に合いますが、学校見学は秋の間に行っておかないと厳しくなります。
「受験するかもしれない学校の候補」を広げておくには、秋がタイムリミットと言えます。
そういう意味で、夏明けの志望校調査用紙は大切です。
万が一特攻計画になっていた場合に、塾からの指摘が入り早期発見できるからです。
ここは塾を信用しましょう。どの塾講師にも良心はあります。誰だって、全落ちで泣く生徒は見たくありません。危険な場合には本心から止めてくれると思います。
受験直前の調査
この時期の調査は事情が異なります。
名称も「受験校調査用紙」のような名前に変わります。
用紙も、日付ごとにどこを受験する予定か記入する方式になる所が多いでしょう。
この時の調査は、かなり現実的に書く必要があります。
つまり、高望みの無謀な特攻は厳禁で、実際に受験する学校を現実的な視点で選んでいきます。
この際は「2/1に〇〇中学が合格だったら2/2は△△中学。2/1が不合格だったら2/2は□□中学」のような分岐も含めて考えておく必要があります。
具体的な志望校の決め方についてはまた別で記事を書く予定です。
受験校選定や併願戦略で迷いがある場合は、この用紙を提出する前か後かのタイミングで必ず塾に相談することをお勧めします。
併願戦略の立て方については、長年受験に関わっている先生方の知識を借りるのが非常に有効です。
第一志望校の選定は家庭の教育方針や本人の希望が優先されますが、併願校(第三・第四志望校)の選定については塾の意見を取り入れた方が良いです。
まとめ:塾は味方。敵じゃない
今回の記事をまとめると
・本当の志望校を書いていい
・直前期の「受験校調査用紙」だけは色々な要素を詰めた現実プランで
です。
そして最後に大事なことを。塾は基本的に味方です。
家庭の方針や志望校と対立する存在ではありません。
最大限家庭の意向を汲んだうえで、どうしても無謀な場合にはそれを指摘してくれる存在です。
あまり怖がらずに、想いをそのまま書いてしまいましょう!
悩んでいるご家庭に、今回の記事が参考になれば幸いです。