勉強が苦手な子とはどんな子なのでしょうか。
私たちは普段、深く考えずに「あの子は勉強が苦手」のように言っています。
では、勉強が苦手とはどのような特徴のある子なのでしょうか。
算田なりの考えを書いていきます。
また記事の後半では、勉強が苦手だと言われている子が、それでもある程度までレベルを上げるためにはどうしたら良いのか提案していきます。
中学受験専門の算数講師として仕事をしていますが、生徒のレベル・成績はまちまちです。御三家に合格した子も居れば、2年かけて偏差値30から50に成長した子まで、様々です。
その中で感じた「勉強が苦手な子」の特徴と、どのように指導したらよいか方法論の、その一端をお伝えしたいと思います。
目次
勉強が苦手とは?
結論から書くと、勉強の得意不得意の差は「空想の世界から学ぶ能力」のあるなしだと考えています。
空想の世界から学ぶとは、例えば「AとBの最大公約数が6、最小公倍数が36の時のAとBを求めなさい」のように、目には見えない事を考える力です。
他には、例えば理科の力学における仮想的な力であったり、社会であれば工業地帯の特徴だったりします。(実際には工業地帯を見たことの無い子供は多いでしょう)
つまり、実際には見たことも触れたこともないコト・モノに対して、どれだけ身近に感じることが出来るかが、「勉強の得意不得意」の差ではないかと思うのです。
一般に「勉強が苦手」と言われている子供でも、絵を描くのは上手かったり、その日学校で起きた出来事は詳細に記憶していたりと、自分の身の回りで実際に起きた事・経験したことに対しては非常に繊細な感性を持っていることがあります。
「勉強が苦手」だからと言って、決して全ての能力が低いわけではないのです。
学問は基本的に文字情報から学びます。
運動や対人コミュニケーションであれば、実際に体験しての学びがメインですが、勉強はそうもいきません。
現実の世界から離れて、書物や口頭の説明から新たな能力を獲得していく事が求められます。
文字情報はリアルではありません。
現実の体験ではないものをどこまでリアルに感じることが出来るか。
例えば「甲府盆地は水はけが良いのでブドウなど果樹の栽培が盛んである」という情報を、身近なもの、自分に関係のある事柄として捉えることが出来るのかです。
文字と概念の世界へ簡単にアクセスできるのかが、つまり勉強の得意不得意を決定的に分ける差なのだと考えています。
そして「勉強の苦手な子」は総論すると、この文字情報の世界から学ぶことを不得意としています。
現実ではない空想の世界を不得意としています。
このタイプの子は、長期的には「リアルから学ぶ世界」にシフトしたほうが才能が伸びると思います。
例えば美術や音楽、運動や技術職人、対人営業力などです。
手先の技術などは教科書で勉強するものではなく、実技で学ぶものでしょう。
この領域は「勉強が得意」な子が不得意で、「勉強が苦手」な子の方が得意ということもあり得ます。
ではこのタイプの子は、文字情報の正解から学ぶことは諦めるしかないのでしょうか?
私はそうは思いません。
飛びぬけた才能があり、それ一本で生きていける人物であれば勉強を放棄しても良いかもしれません。
ただ「何か才能のある原石の若者」が世の中で活躍するためには、最低限の学問があった方が有利だと思うのです。
全員が全員学者になる必要はありません。
それでも、基礎学力が高いに越したことはない。
私はそう考えています。
たしかに中学受験の勉強は、上位校の問題は高度に特殊化されていますので「中学受験特有の勉強」の一面がることは否めません。
しかし、偏差値40前後の学校を突破するために必要な学力は、今後どの領域に進むとしても役に立つものだと考えています。
(割合の基礎や、約数・倍数の基礎など)
ですので、例えば偏差隊35の子を40に上げる勉強には大いに意味があると思います。
(便宜上偏差値と言う相対的な指標を使いましたが、本来はその子自身の成長という意味です)
どう教えるのか
基本路線は二つ。得意を活かすか、苦手を克服するか。
①空想の正解を身体的な世界に落とし込んで、学びやすい形にする
②空想の世界から学べるように鍛える
空想の世界(文字情報)から学ぶのが苦手という弱点を抱えた子ですが、裏を返せば、身体的な世界から学ぶのは比較的得意です。
②の方法は、指導期間が長期確保できる場合です。具体的には、出来れば2年。最低でも1年以上の指導期間がある場合に限られます。
①の方法は苦手を避けて得意分野で勝負する方法なのに対して、②は苦手に真っ向から戦いを挑む方法です。
①は、講師(算田)の解説・導入で、算数的な考え方を身体的・直接経験できるものに置き換えて学んでもう方法です。
例えば以下の記事
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のような方法で、場合の数という空想の正解の出来事を現実世界に結びつけます。
これをあらゆる単元で丁寧に行います。
②は、自分一人でも空想の世界から学べるように鍛える方法です。
苦手な子と言うのは、例えば
「ある数を5で割ると余りが3になります」という文章から「□÷5=?あまり3」という式を作るのが苦手です。
この壁を乗り越えるために必要な手順はいくつかあります。
壁を乗り越えるための具体的方法
一つは「文章の分割」です。
「ある数」を「3で割る」と「余りが3になる」のように、文章を部分ごとに分けて意味を捉えます。
読者の保護者からすると「え、何を当たり前の事を?」と思われるかもしれませんが、これが出来ていない子は意外と多いです。
文章を全部一気に捉えてしまい、どこか一か所でも意味が取りにくい部分があると「意味が全然分からない」となってしまうのです。
問題を切り分けて、どこが分からないのかを特定する。これが自発的な学びへの第一歩です。
もう一つは「言葉と意味の一対一対応」です。
「ある数」は「□」と書き換えられますし、「3で割る」は「÷3」と表せます。「余りが3になる」は、式の最後の「あまり3」です。
ここまでの一対一対応を終えて、初めて「あれ、商(割り算の答え)ってなんだ?……あ、分かんないのか!じゃあはてなマークにしておこう」という発想に至ります。
これも、読者の保護者様からすると、これもまた「何をそんな当たり前の事を?」と思われるかもしれません。ただ、勉強が苦手な子の出発点はここからなのです。
数の世界に入る前に、まず一旦意味の世界を経由しないといけません。
多くの人は無意識に「問題文・言葉」→「式・数値」の変換が出来るでしょうが、実際には
「問題文・言葉」→「意味」→「式・数値」の変換をしています。
つまり「ある数を5で割ると3余る」(元々の文章)→「あぁ、何かの数字を÷5したら余りが3になるんだな」(意味の理解)→「□÷5=?あまり3」(式・数値化) です。
大多数の子供には「問題文・言葉」を「式・数値」に変換するように指導するだけで充分です。
しかし、それは文章を読んで一瞬で意味を取れる子に対してのみ有効です。
文章を読んでも意味が理解できていない子に対しては、間にワンクッション挟んであげる必要があります。
つまり、「問題文・言葉」→「意味」の技術の指導です。
言い換えると「ある数を5で割ると3余る」(元々の文章)→「あぁ、何かの数字を÷5したら余りが3になるんだな」(意味の理解)のところの手伝いです。
「読解力」と言い換えても良いかもしれません。
ここまでの話を一言でまとめるならば
「勉強が苦手な子への算数指導では、言葉・文章の方面からのアプローチが不可欠」という事です。
ここまでの文章を読んで共感していただけた方は是非連絡を
ここまで長文を読んでいただきありがとうございます。
ほとんどの保護者様は「何を当たり前の事を長々と書いているんだ? こんなの教えなくても誰でもわかるだろう」と思われたかもしれません。
しかしもしかしたら、何名かの保護者にとっては「うちの子の状況はまさにこれだ!と思われたかもしれません。
まさにこの状況だと思われた保護者様、是非算田にご連絡ください。
お役に立てる事があると思います。
成績の下限はありません。学校の勉強に困っているという方でも構いません。
是非ご連絡いただけたらと思います。
sandasuutarou3.14@gmail.com
までご連絡ください。