算数の問題には、ミスが起きやすいポイントと言うものがあります。
例えば「兄と弟で逆にする」や「A:Bの比を求めるはずがB:Aで書いてしまう」や「AとBが出会ってから何分後ですかなのに、Aが出発してからの時間で答えてしまう」など……
これらの間違えやすいポイントを知っていれば、「ここは間違えやすい所だから確認しなきゃ」と注意することが出来るのですが、そこが間違えやすいポイントであると知らなければ、注意することすら難しい。という事を前回の記事で解説しました。
今回は、そこが間違えやすいポイントであるという事を強く印象付けるにはどのように指導したらよいのか?
ご家庭でも実践できそうな、簡単な方法をひとつ紹介します。
前回の記事の続きになります。
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「その数字は合っているけど答えはそれじゃない」
生徒が問題を解いて、その答えが惜しい間違えだった場合(兄を聞かれているのに弟を答えているなど)にどのように声がけするかについてです。
私がよく言っているのは「その数字は合っているけど、答えはそれじゃない」です。
つまり、今求めている数字は間違っていない。考え違いもしていないし、計算ミスもしていない。
でも答えはそれではない……という事を伝えたいという目的の言葉です。
他のバリエーションとしては「その数字は間違ってないんだけど、解答欄にそれをかくとバツになる」や「問題で聞かれているのはそれじゃない」のような伝え方をしています。
つまり「バツだ。間違えを探してみよう」でもなければ「それは兄の数値。問題で聞かれているのは弟だよ」でもありません。
指導者の声がけとしては、言わな過ぎても良くないですし、言いすぎても良くないと思っています。
詳しく説明してきます。
「バツだ」だけだと、印象が薄くなる
もっとも一般的な指導としては、ただ答えがバツであることだけを伝えて、どこが間違っているかを見直しで見つけさせるという方法でしょう。
この方法は、途中の論理で間違っている場合には効果があると思いますが、何を答えるかのミスなど単純なものの改善にはあまり効かない気がしています。
というのも、「バツだ」とだけ言われて間違い直しをすると、まずは計算ミスや考え方の間違いがあるのではないかと言う点からチェックを始める子が多いです。
計算ミスもない、途中の考え方も間違っていない、でも答えが違う。なぜだ……と色々検討して、最後の最後に答えるべきものが違っていたことに気づくパターンが多いです。
この場合、子供が何を考えるでしょうか。
「なぁんだ。単純な間違いだった。他のところは合っていたんだから、まぁ実質正解みたいなものでしょ」のように考える子が多いです。
つまり、ミスをしたことが記憶に刻み込まれないのです。
先に計算ミスや論理ミスの検討に時間を割いてしまっているので、その後で単純な読み間違いに気づいたとしても徒労感が大きくなってしまいます。
「なぁんだ単純なうっかりミスだ。気にしない気にしない」のように受け止められてしまう事が多いでしょう。
そうではなく、”文章の読み間違いによるミスをしてしまった”という事実を強く印象に残したいのです。
「ここの読み間違いをしているよ」でも逆に印象に残らない
では、間違えた箇所をストレートに指摘してあげるのはどうでしょうか。
例えば「あー! 兄と弟を逆に書いてるよ!」「本当だ!」のような感じです。
これも、子供に与える印象が弱くなってしまうと感じています。
他人から教えてもらって、それで気づいたとしても心に深く刻み込まれることはありません。
結論・目的 危機感と気づき
さて、以上の理由により「その数字は合ってるけど答えはそれじゃない」や「解答欄にそれを書くとバツになる!」のような言い方をするようにしています。
目的は二つです。一つは「どこかで読み間違いをしたのか!? どこだどこだ……」のように危機感を感じてもらい、強く印象に残すため。
もう一つは「何を間違えたんだろう。家からの距離じゃなくて学校からの距離だったか?兄が出発してからじゃなくて弟が出発してからか?それとも……」
のように、間違えそうな箇所から順番に検索をかけて間違いチェックをしていきます。この動作こそが、自分の中に「間違えやすいポイントのインデックス」を作る作業です。
この動作を自然とやってもらうための、指導・指摘の度合いとして「数字は良い数字だけど、答えはそれじゃない」のような指摘の仕方にしています。
この辺りの指導の仕方については生徒一人一人によって微妙に最適な方法は変わりますが、大体こんなことを考えながら家庭教師は授業をしているのだという事が少し伝われば良いなと思います。
ご家庭でも 参考に出来るところがありましたら、是非!