以前スポットで指導した4年生の生徒のことを記事にしてみます。
その生徒は、通っている塾の先生から「〇〇さんはどこかが分かっていないんだけど、どこが分からないのか私にも分からない」と言われていたそうです。
基本的に算数の得意なお子様でしたが、本人も「塾の解説を聞いてもなんかしっくりこないな……」と思っていたそうです。
結論としては「同じ問題を指導するとしても、生徒によってどの切り口から解説するべきかが異なる」と「生徒の言う”分からない”には様々な意味がある」という内容です。
詳しく書いていきますね。
その生徒が質問ということで見せてくれた問題が次のようなものでした。
問題1
Aさんは分速30m、Bさんは分速24mで家を出発して学校に向かいます。AさんはBさんが家を出発した4分後に出発しました。
AさんがBさんに追いつくのは、Aさんが家を出発してから何分後ですか?
こんな感じの問題です。
さてこの問題の解き方は次のようになります。
まずAさんが家を出るときにBは何m先を歩いているか?を求めると
24×4=96m です。これを二人の速さの差で割りますので
96÷(30-24)=16分 となります。
さてこの問題が分からないと言われた際に、分からない原因となっている可能性が最も高いのは”速さの差で割る”の感覚のところです。
私も「まぁこの問題ならきっと速さの差のところだろう」と思い、そこの解説をしてみました。
しかし生徒はあまりしっくりきていない様子。
私もおかしいと思い、その生徒が解いた他の問題を見てみると……なんと次のような問題は正解できていたのです。
問題2
AさんはBさんの100m後ろにいます。Aさんは分速20mで、Bさんは分速15mで同時に同じ方向に向かって歩き始めました。AさんがBさんに追いつくのは何分後ですか?
その生徒は、この問題には迷いなく
100÷(20-15)=20分 と答えられていたのです。
つまり、当初は分からない原因だと予想した”速さの差”のところは既に理解できていたのです。
さて、問題2が解けて問題1が納得いかない生徒の言う「分からない」の意味とは何でしょうか?
私は「目的意識が分からない」ということではないかと予想しました。
つまり問題1では問題2と違って、冒頭で 24×4=96 という計算が入ります。これは4分でBが進む距離を求めているのですが、これが何のためにやっているのか分からない、というようなことだと考えました。
するとこうした生徒への解説としては「問題2の状況に持ち込むための下準備をしているんだよ」というような方向性での指導になります。
(もちろん実際に生徒に教える際はもっと丁寧に伝えます)
このように、生徒が一口に「分からない」と言ったとしても、どのレベルでの「分からない」なのかは慎重に判別する必要があります。
特に成績が良くて算数が得意なお子様の言う「分からない」にはいろいろな意味があります。
「その解き方で答えが出るのは分かったけど、なんで解けるのか分からない!」というような疑問の場合もあります。
お子様が分からないと言った問題を保護者の方が解説したとして、もしお子様がしっくりこない顔をしていたとしても「なんで分からないんだ!」と怒るのはちょっと待ってみましょう。
もしかすると、別の意味・切り口での「分からない」の可能性もあります。
「うーん、言ってることは分かるんだけどなんか違うんだよなぁ」と思っている可能性もありますので、ちょっと立ち止まって考えてみると良いかと思います!