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中学受験算数は異常発達している【数学と何が違うの?】

お久しぶりです。
算田数太郎の算数ブログは2020年~2021年にかけてブログランキングで上位をいただいていましたが、しばらく更新が止まっておりました。
この度、ブログの更新を再開いたします!

再開一発目として、中学受験算数って何? というテーマについて語ってみます。

中学受験算数は異常発達している

中学受験算数は異常発達している。
これは指導の現場での率直な実感です。

・20年前の最難関問題が、現代では典型問題としてテキストに掲載されている
・問題文の長文化が止まらない

中学受験算数と数学の違いは?

厳密な議論を始めると終わらなくなるので、ここでは明確に言えることだけをまとめます。
中学受験算数には登場しない、数学上の分野・技法についてまとめます。
【登場しない分野】
・二次方程式
・平方根
・ベクトル
・三角比、三角関数
・微分積分
・確率

などです。
一方で、本当に平方根は出題されないのか?実質ベクトルみたいな考え方は出題されているのでは?
と言った論点については、後で改めて語りたいと思います。

「方程式を使わない」は本当か?

よく言われるのは「算数では方程式を使わない」です。
これは一部は正しく、一部は間違っています。

つまり、こういった問題の出題はありません。
「以下の二本の直線の交点を求めよ。
y=3x+4
y=-2x+1」
このような、いかにも「連立して解をもとめてくださいねー!」という問題は出題されません。

一方で、方程式は登場するとも言えます。
①一つ目は、消去算の存在です。
消去算とは、事実上の一次方程式の連立です。
消去算とは次のような問題です
「りんご3個とみかん2個は400円です。りんご2個とみかん5個は450円です。りんご1個の値段は何円でしょうか?」
これはほぼ連立方程式です。
りんごをX、みかんをyと書けば、連立方程式の加減法とやっていることは同じです。
この消去算の存在をもって「中学受験にも方程式はあるじゃないか!」というのは一つ目の意見です。

②二つ目は、様々な問題が立式して解を求めるというアプローチでも解け得ると言う事です。
比でも、旅人算でも、食塩水でも、「立式して解く」というアプローチで解くことは可能です。
中学受験的には、図を描いたり、何か「一定」に注目したりして華麗に解くことを目指しますが、そんなことはせずに力技で立式してガチャガチャ変形していけば解け得る問題も多いです。
というか、いわゆる「〇〇算」と呼ばれる特殊算系の問題は、本質的には立式して解くという方程式的な解法が通用します。

小学生が「立式して解く」という手法を取ることは現実的には難しいのですが、この話は長くなるので別の機会に取っておきます。
ともかく、「中学受験の問題は方程式で解き得るか?」という問いに対しては、多くの問題において解くことは可能であると言えます。
これをもって「中学受験に方程式は出題される」という意見の方もいます。

中受算数の本質は「具体思考」では?

中学受験算数と数学の違いは「方程式を使うか否か」では語れないと言うことが分かりました。
では、何をもって算数と数学を隔てているのでしょうか?

私の個人的な意見ですが、厳密な分類は難しく、その境界線はグラデーションになっていますが、両者を隔てる思想的なポイントを一つ指摘したいと思います。
それは「具体思考」です。

中学受験算数は、具体的な「モノ」に注目して考える問題が多いです。
例えば
・同時に出発して向かい合って進むAさんとBさん
・食塩水の濃度
・頭の数と足の数が分かっている場合の鶴と亀の匹数
など……

中学受験算数は、具体的な、何か「モノ」が存在する問題が多いです。
特徴的なのが、数の性質の問題です。具体的な「モノ」が見えづらい単元ですが、それでも何とかして「モノ」を登場する問題形式にしようと工夫が重ねられています。
例えば
・4分ごとに打ちあがる花火と6分ごとに打ちあがる花火
・2㎝の隙間を空けて、長方形の紙を貼る
・長方形を積み重ねて立方体を

など…
とにかく、出来るだけ「モノ」を問題文中に登場させたいという発想で作られることが多いのが算数です。

一方で、中学以降の数学になると、モノが登場しない問題が増えます。
例えば
・交点の座標を求めよ
・解を求めよ
・証明せよ

など、具体的なモノに依らない問題が増えます。
もちろん文章題もありますが、その割合は大きく低下します。

具体思考と言ってるけど数の性質はどうなの?場合の数は?

痛い所を突いてきますね。確かにその通りです。
数の性質と場合の数は、モノが登場せず、数のみで問題が構成されることも多々あります。
例えば
・3で割ると1余り、5で割ると3余る数のうち、3ケタで最大の整数は?
・A,A,A,B,B,Cを一列に並べる。並べ方は何通り?

などです。これはモノがありません。
なので、数学っぽい問題ということになります。

ただ、考え方や解法において、算数的な指導がなされます。
例えば先ほどの問題
・3で割ると1余り、5で割ると3余る数のうち、3ケタで最大の整数は?
において、数学であれば以下のように解くでしょう。
x=3n+1
x=5m+3
とおいて考えるところです。

一方で中学受験算数ならば以下のように考えます。
「3で割ると1余る」と「5で割ると3余る」は、どちらも「2足りない」という点で共通しているから、答えは15の倍数-2になる。だから……

立式をメインに考えるか、共通や特徴に注目するか、やや大げさに書きましたが、このような発想の違いがあると思います。

中学受験算数の存在意義は何か?

中学受験算数の存在意義は、この「具体思考」にあると考えています。
数学的観点からはよく批判されます。曰く、中学受験算数を勉強しても数学に直結しない。だから無駄である。最初から数学を勉強していた方が効率的では?
このような批判が良くあります。
確かに、大学受験数学での点数最大化を目指すならば一理ある考え方かもしれません。
一方で、子供の年齢に応じたトレーニング方法という観点も無視できません。
10歳~12歳の子供にとって、個人差はあるものの、抽象的な式での思考より、具体的なモノが見える思考の方が扱いやすいのは間違いないと思います。
そのような年齢の子供が、数的な思考力を鍛える方法として、中学受験的な制約の下で発達した『算数』という科目を学ぶ意義は大きいと思っています。

一方で、その『算数』が異常発達して、算数でしか役に立たない謎のテクニックを多数生み出してしまっている点は業界として反省すべき点です。
しかし、それをもって、小学生が『算数』を学び意味が全て消えるものではないと思っています。

具体的なモノと紐づけながら、数的思考を学ぶプロセスとしての『算数』や『中学受験算数』の意義は大きいと、私は信じています。
だから中学受験算数が好きなのです。

復帰第一号で書いたブログが長くなりすぎました。
今後もこんな感じで、中学受験や算数についてのブログを書いていきますので、良ければまたご贔屓にお願いいたします。

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