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勉強法・指導法

組み分けテストの過去問で勉強してはいけない理由~「ビーチサッカー」のルールは想像できますか?

組み分けテスト

組み分けテテストは全中学受験生とその保護者の最大の関心事。
クラスアップこそが中学受験の目的です。
少なくとも6年生の夏頃まではほとんどの生徒はそう考えている。

5年生の生徒の子にとって「入試」は1年以上先のことです。
小学生にとっての1年は、大人の体感時間に直すと10年くらいです。
「10年後に大事な試験があるから今から勉強しましょうね」と言われても、やる気は出ませんよね? 少なくとも私は全く出ません。
「あー大事なテストがあるなあ。でもまだ時間はあるから、とりあえず今日はyoutube見てゴロゴロしよ」と考えるのが普通です。
でも……「来月までに社内模試がある。成績が悪いと全社員から後ろ指をさされて笑いものにされる」となったら、俄然やる気が出ると思います。

人は遠くて大きな目標のために日々頑張るということはできません。
近くて小さな中間目標は、努力を継続するために必要です。
そういう意味で、クラス分けテストは勉強をがんばる原動力として作用しています。

「クラス分けテストのために勉強しているんじゃない。入試で合格すればいいんだ」なんていいません。
全力でクラスアップを煽っていきましょう。
むしろ「クラスアップこそが正義!入試などどうでもいい。クラスアップのだめに頑張るぞ!」くらいの気持ちでもいいと思います。

テストの過去問は禁断の麻薬なのか?

組み分けテストの過去問は本来は入手不可です。
メルカリ等で中古品を購入することは可能です。高値で取引されているようです。

テストの過去問を学習することについて、どんなイメージがあるでしょうか?
・禁断の麻薬
・本質的ではない
・分かっちゃいるけどやめられない
・勉強になるんだからいいでしょ

など……

過去問学習肯定派も否定派も、大体お互いの言い分は想像できると思います。

過去問学習にはメリットデメリットあり、今回はそこは論じません。
薬のCMではないですが「用法容量を守って正しくお使いください。」です。

今回論じたいのは、組み分けテストの過去問を大量に解くことは勉強として有効なのか?
です

【結論】やりすぎは良くない。1回くらいなら良い

現代人は時間がないので、先に結論を書いておきます。
過去問での勉強はやりすぎは良くない。(1回くらいならOK)です。

後半部分は分かりやすいかと思います。
たとえば早稲アカ等の塾は、組み分けテスト前に練習として1回過去問を解くようですし、塾としてのシステムに組み込まれています。
前半部分「過去問での勉強はやりすぎは良くない」の理由について解説していきます

勉強の良問・テストの良問

突然ですが「ビーチサッカー」ってどんなルールの競技だと思いますか?
勘で構いませんので、考えてみてください。

イメージできましたか?

正解は「砂浜で行うサッカー。1チームの人数は5人」という競技です。
さて、「ビーチサッカー」という言葉を聞いてイメージした競技と、近かったでしょうか?
多くの方が、当たらずとも遠からずの想像をしたかと思います。

さて、「サッカー」や「バレーボール」のルールを覚えるのが勉強だとするならば、「ビーチサッカーのルールは何でしょう?」と問うのがテストの問題です。

普段の勉強では、メジャーなスポーツのルールを覚えます。「サッカー」や「空手」、「バレーボール」など有名どころを抑えます。少し難しいですが「ビーチバレー」も押さえておきたいですね。この辺りがいわゆる「基本」です。
テストでは、少しひねったスポーツのルールが問われます。例えば「ビーチサッカーのルールは?」などです。
さて、ビーチサッカーのルールなんて知りません。ここで使える知識は二つです。

①サッカーのルールは知っている。
②ビーチバレーというスポーツが存在する。普通のバレーボールよりも少ない人数(2人)で行う。

ということから類推すると
「ビーチサッカーとは、砂浜で行うサッカーであろう。おそらく1チームの人数は普通のサッカーより少ない」
が導き出されます。

チェスボクシングのルールを暗記することに意味はない

さて、組み分けテストの過去問をやったとします。
そこにはこんな問題がありました「チェスボクシングのルールは?」

これを躍起になって暗記することに意味はありません。
もしこの問題が出題されているならば、その出題意図は「チェス」と「ボクシング」のルールはちゃんと覚えているかな?
ということを問いたいはずです。
この二つを知っていれば、想像でなんとなく分かるはず……

読者の皆様も想像してみてください。チェスボクシングのルール。
正解は「チェスとボクシングを交互に行い、勝敗を競う」です。
当たらずとも遠からずの想像ができたのではないでしょうか?

チェスボクシングのルールを覚えるような勉強はおすすめしません。
「チェス」と「ボクシング」から類推できるようなトレーニングを積みたいです。

真面目な解説

たとえ話ではなく、もう少し真面目に解説してみます。
塾のテキストに掲載されている問題と、テストの問題を模式的に示してみました。
テキストは、基礎から順々に積み上げていくような構成です。たとえるならピラミッドの建築です。
まず下の部分を学習し、その上に少し進んだ内容を積み上げ、さらにその上に難しい内容を積み上げていきます。

一方で、クラス分けテストに出題される問題はピラミッドからは少し外れた位置にあります。
もちろん、ピラミッドの内部にある問題(テキストで勉強した問題と同じ問題)も出題されますが、それだけでは深い理解度を試すことはできません。
知っている内容から少し外れた問題を出すことで、生徒の真の理解度を試すのがクラス分けテストです。

ピラミッドから外れた問題なので、基礎が欠けているとの画像のようなことになります。
ピラミッドが欠けていると、知っている内容とテストの問題とが乖離しているため、手が届かなくなります。

一方で、きちんと学習が進んでいる場合はどうでしょうか?
下の画像をご覧ください。
ピラミッドがきちんと構成されていれば、少しのジャンプで手が届きます。
このように、構成された知識ピラミッドから少し外れた問題(一ひねりした問題)を出すことで、基礎の理解度を問うことができます。
これがクラス分けテストの真意です。

では、クラス分けテストの過去問を何度もやりこんで勉強するとどうなってしまうのでしょうか?
下の画像をご覧ください。
テストで出題される「ひとひねり問題」を解くために反復学習すると、いびつな形の知識ピラミッドが作られることになります。
つまり、「ビーチサッカー」や「ビーチハンドボール」の意味をすべて丸暗記するような状態です。

この勉強法では単元の根本が理解できていません。なぜなら、個々の解法を暗記しているだけだからです。
これでは入試本番で何が起きるでしょうか? 例えば「チェスボクシングのルールは?」と聞かれた際に、類推の練習をしていないので、まったく歯が立たないということになります。

入試の範囲はパターン暗記で乗り切れるほど狭くはありません。
「ビーチテニス」も暗記して、「チェスボクシング」も暗記して、「タッチラグビー」も暗記して……それでも本番で「タグフットボール」が出題されます。
類推ができる子なら「タグを使ったアメフトかな……?」と想像できますが、暗記で戦う戦士は手も足も出なくなります。

こうした理由により、テストの過去問を反復練習しての勉強は推奨していません。
一方で、塾のテキストや問題集は反復演習した方が効果的です。

「野球」や「サッカー」、「アメリカンフットボール」のルールは反復練習で覚えておくべきだが、「ビーチサッカー」のようなマイナースポーツまでは暗記する必要はない。
それは「サッカー」と「ビーチバレー」を知っている状態で類推することを狙いとした問題だからだ。
これが今回の記事の結論になります。

皆様の学習の参考になれば幸いです!

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