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算数の解法・技術論

問題読み飛ばしを防ぐには!? トレーニング方法!

今回は算数の文章題での読み飛ばし・読み間違いを防ぐ為のトレーニング方法をご紹介します。

文章の読み間違いによるバツ、多いですよね。
「あー!A地点じゃなくてB地点だった!」「AをBで割るか!逆にしてた!」「ABとCDが直角!?読んでなかったー!」
など……皆様一度は経験があるかと思います。

そして、そのたびに「注意して読みなさい!」と言っているが、一向に改善の気配がない……
今回はこんな症状を改善させるための、ゲーム感覚のトレーニングをご紹介します。
他で今から紹介するような方法を見たことがないので、おそらくオリジナルだと思います。

記事の前半では、文章読み間違いに対するよくある指導がうまくいかない理由や、指導・改善が難しいと言われている理由を解説します。
後半では、具体的なトレーニング方法を解説します。
時間がない方は後半だけでも読んでみてください

問題点はどこにあるのか

「ちゃん読みなさい!」では「読んでるよ!」となる

算数の文章を読み間違えた時に、最もよくある指導は「ちゃんと読みなさい!」や「注意して読みなさい!」という声がけでしょう。
しかし、こうした声がけで改善したという例を聞いたことがありません。基本、言っただけでは聞きません。

言われた子供の側は「うるさいなぁ!ちゃんと読んでるってば!」と感じてしまうことでしょう。
大人から見ると「ちゃんと読んでないから間違えるんだろうが!」と言いたくなる気持ちは分かるのですが、小学生本人の認識としては「自分だってちゃんと読んでいるのに……」なのです。

これでは指導の意味がありませんよね。「ちゃんとやりなさい!」「やってるってば!」では無用の対立を生むだけです。
なぜこんなことが起きるのでしょうか?

「ちゃんと」がどのような状況なのか、指導側と子供との間で共通認識が出来ていない

このような状況が起きてしまう原因は「ちゃんと」という言葉が想定する状況について、指導側と子供との間で認識がズレてしまっているからです。
大人が想像している「ちゃんと」と子供が思っている「ちゃんと」の状況にズレが生じているのです。

例えるなら、「パワーポイントで資料を"丁寧に”作って」と言われた際に、誤字脱字がなければOKだと考えたが、実際に指示されていたのは、フォントや文字サイズの工夫、枠線の位置をピクセル単位でそろえる事も含んだレベルの高さだった、というような感じです。
指示した側の”丁寧に”と、指示された側の考える”丁寧に”が想定する状況にズレが生じています。

「ちゃんと読む」とはどのようなことなのか言語化しての指導が難しい

では「ちゃんと読む」という言葉を使わずに、具体的な手順やコツを言葉で説明すれば良いのでは?という発想が当然浮かんできます。
この試みは多くの人がやってきました。

「大事なところに線を引く」や「音読する」、「キーワードをマルで囲む」など……
これらも、あまり効果を上げられてはいないですよね。おそらく読者の皆様も、お子様に対してどれかをアドバイスしたことはあるのではないでしょうか?

これらの方法は「ちゃんと読む」の状況の一部を再現するものですが、全体像を再現している訳ではありません。
確かにミスなく読めている人はキーワードに注目して読んでいますし、大事なところが出てきたら意識を向けています。
それを子供に真似させようという試みは一見一理あるように思えます。
しかしそれは結果論であって、読み飛ばしてしまう人はどこが大事なのか分からないから読み飛ばすのです。
「大事なところに線を引け」と言われても、どこが大事なのかを見落としてしまうから読めないのです。
「蚊がいたら叩いて潰してね」と言われているのと一緒です。それが出来ないから苦労しているんです。

指導法

お待たせしました。
それでは具体的なトレーニング方法の解説に移ります。

概要:問題用紙を裏返してから解く

通常問題を解く際は、問題用紙とノートを並べておいて、交互に見比べながら解いていくと思います。
問題を見て、ノートで計算して、また問題を見て条件を確認して、またノートで計算して……

これを変えます。問題用紙は裏返して、見えない状態にしてから解いてもらいます。
つまり、最初に問題を読んで、その後で裏返して見えなくしてから解くのです。

でもこれだと暗記力の勝負になってしまいますよね。ですので、細かい所でひと工夫します。
問題を裏返す前に、ノートにメモを取っても良い事とします。
つまり
問題を読む→メモを取る→問題を裏返す→解く
という流れです。

しかしこれでもまだ心配があります。
この方法だと、問題文を全文メモに書き写してしまえばいいじゃないか! となってしまいます。

ですのでもう一工夫です。
「メモを取って良い時間は30秒だけ」のように時間制限を付けるのです。
詳しく説明します。

まず最初に問題文を読みます。この時は鉛筆は手に持たず、読むだけです。
この読む時間は無制限です。
「この後で30秒しかメモを取れないから、どこをメモに取ろうか?どんな形でメモを取ろうか?表?図?」のようにプランを考えながら読んでもらいます。
どんなメモを取ろうか頭の中で形が出来たら、生徒に自分のタイミングで「もういいよ」と言ってもらいます。

そこから時間を測って30秒~60秒でメモを取ります。
その後は問題を見えないようにして、メモだけを頼りに解いていきます。

まとめ・手順

トレーニングの手順を整理します。

①ルールを説明する。(時間無制限で読む→30秒だけメモを取る時間を作る→その後は裏返して問題は見ないで解く という流れを理解してもらう)

②問題文を時間無制限で読む。この時は鉛筆を持たない(この後でどこをメモに取れば良いか、どんな形のメモを取ろうかを考えながら読む)

①制限時間を付けて、必要な情報をメモに取る(時間設定を短くしすぎてしまった場合は延長もOK)

④時間が来たら、問題文は裏返して解く

です。これだけです。

このトレーニングの目的

このトレーニングは、「やるだけでみるみる読み間違いが減る」というものではありません。
効果が出るまでには数か月時間がかかると思います。

目的が何なのかと言うと「ちゃんと読む」とはどのような状態なのか、ゲーム感覚で理解してもらうことにあります。
つまり、このゲームの冒頭では、事前と「この後で30秒しかメモを取る時間がないから、どこが大事か、どんな形のメモを取れば良いかしっかり考えなきゃ。チャンスは一度しかないから慎重に……」
と思って文章を読むことになります。

この時の!この時の読み方こそが、大人が想定している「ちゃんと読む」に極めて近い状況なのです。
このトレーニング・ゲームの目的は、指導側と生徒側との間に「ちゃんと読む」とはどのような状況なのか、意識を共有することにあります。

このトレーニングの最後には必ずこの章に書かれている内容を子供にも伝えてください。
つまり「今あなたがやった読み方が、『ちゃんと読む』なんだよ」と。

そうすると大体の生徒は「こんなに頑張って読まないといけないの!?」と驚く事でしょう。
これが目的です。

このトレーニングをやった後では、生徒が読み間違いを起こしてしまった際に「あの時のゲームみたいに読んで」という指導が出来るようになります。
すると生徒側も「いかんいかん、あの時のゲームよりは手を抜いて読んでしまっていた。気を付けなくちゃ」と反省できるようになります。

なので、このゲーム・トレーニングの目的は「講師が指導し、生徒が反省できるようにする」です。
この取り組みをやった後で、すぐに読めるようになるわけではありません。
でも、この後で読み間違いを起こしてしまったときには「あの時みたいに読んでね」という事で、共通の言葉で指導が出来るようになります。

この「共通認識」を作るための練習です。
大人が想定するところの「ちゃんと読む」の状況を、ゲームと言う特殊な状況下で疑似的に体験してもらうのが目的です。

まとめ

中学受験指導が大学受験指導等と大きく異なる点は、講師と生徒との間の言語能力の差が大きい事です。
いかに言葉で正しく説明したとしても、伝わらなければ意味がありません。

正しい行動の断片を言葉で説明しても、それが実感として伝わらないという事が良くあります。
そんな時に、言葉以外の方法で伝えることが出来るか?
講師がやって欲しい行動・考え方を、子渡場を最小限にして体験で学んでもらうためにはどのような状況設定をすればいいのか?

今回のようにゲームを作るでも良いですし、適切な問題を選ぶことで誘導することも出来るでしょう。
講師の考える目的に、生徒をうまく誘導する状況を設定する能力が、中学受験指導で大切になってくるものではないかと思います。

今回の取り組みも、もっと細かい所で指導の際に気を付ける事だったり、どのような言葉で意識を持っていけばいいかなどの工夫はあるのですが、そこは秘伝ということで……。
今回は算田とっておきの指導法の概要を説明しました。
ご家庭でも真似できる部分があると思いますので、良ければ取り入れてみてください!

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