中学受験で家庭教師を依頼しようと考えるご家庭は大きく分けて二つのパターンがあると思います。
一つは、その教科が大いに苦手でどうにかしてほしいという場合。
もう一つは、難関校合格のために得意教科を更に伸ばしてほしいという場合。
今回は、大いに苦手としてしまっているお子様を中心に書いていきます。
結論を先に書きますと「成績が低いのは決して思考力が低いからではなく、言葉から情報を得るのが苦手なだけではないか?」ということです。
ご家庭で指導される際の参考にもなると思いますので、詳しく書いていきます。
塾の授業は基本的に全て口頭の言語によるコミュニケーションで指導がなされます。
先生が言葉で説明し、生徒はそれを聞いて理解する。という形式です。
ただ一方で生徒によってはこれが苦手な子がいます。
例えば「木が10本あるから、間の数は9個だね。木と木の間が3mだから3×9=27mが答えだ」のように植木算の典型的な解説をしたとしてもポカンとしてしまうタイプのお子様です。
ストレスなく認識できる文章の長さには個人差があります。「木が10本あるから、間の数は9個だね」と一息で言ってしまうと理解が追いつかない生徒は少なくありません。
そうした場合には例えば「木が10本あるんだよね。そうだ10本。そしたら木のあいだは何個あるかな?木の間っていうのは、ここにこう木があるときの、ここのことね。(ジェスチャー付き)これが何個あるのかを考えてみよう」
のように、あくまで一例ですが「10」や「木の間」といったキーワードを確実に生徒にイメージさせます。また、何が問われているのかを言い換えながら確実に自分の頭の中でイメージできるように誘導します。
「木と木の間」も単語が3つ合わさった言葉のためイメージしづらくなります。出来るだけ「コレ」のような形でイメージできるようにします。
一回は先生の補助付きだとしても理解できるようにして、次は自分一人で読んで理解できるようにと、段階を踏んでトレーニングしていきます。
解説の中でどこを強調して説明するか、どの部分でスピードを落として話すか、問いかけはどのタイミングで入れるのがベストか。
分かりやすい解説をするというよりは、講師が思っている考え方を他人(生徒)と共有するためには何を言えば伝わるかを考えるのが家庭教師の仕事です。
これは算数が苦手なお子様の指導ばかりではなく、上位生の指導においても同様の指導方法が応用できます。
勉強するのが好きで成績は非常に良いけれども、先生の話を聞いて学ぶことは得意ではないというお子様もいらっしゃいます。
難関校合格のためにもうひと伸びさせたいが、なかなか他人の言うことを聞かない……という生徒に対しても、同様の指導方法が応用できます。
その子が理解するために必要な最小のヒントをうまく出すことが大切です。
ご家庭で指導される際には、どこまでを言葉で説明するのか? 感覚で理解させるためにはどのようにすればいいのか? という視点で説明の仕方を調整してみてください。
また家庭教師や個別指導をお願いする際には、その先生が言葉のみで説明するタイプなのか、別の手段も織り交ぜながら柔軟に指導してくれるタイプの先生なのか、よく見極めるようにしてください。
ブログ開設初期の古い記事ですがこちらも是非どうぞ 子供にはそれぞれ個性があります。物事を認知する際に、どのような形から情報を受け取りやすいかという点にも子供それぞれ特性があると思います。指導の実感から常々思う所です。 今回はちょっと込み入った内容を語 ... 続きを見る
参考子供の認知の特性について。視覚優位・聴覚優位・言語優位