サピックスもzoomを利用したオンライン授業を行うと発表されていましたが、どうやら算数はzoom授業を行わないようです。
今まで通り、動画配信を続けるとのことです。
理由はいくつかあるようですが、一番大きなものは「問題演習の時間が多いのでオンラインのライブ授業に不向きである」というものでしょう。
これは確かに一理あります。クラス全員が同時に問題を解き始めて、時間が来たら演習を打ち切って解説を始める。こうしたスタイルは非効率のそしりを免れません。
サピックスのウリである「教室でのやり取りを通じた討論式授業」も、オンラインでは難しいとの判断でしょう。
これはある意味英断だと思います。出来ないことは出来ないとしたうえで、もっとも効率の良い手段を選択したという意味で評価できます。
しかし私は、この決断にはもっと重大な影響があると思っています。
それこそ、SAPIXの存在価値を揺るがしかねないほどの……。
- 実質の授業時間が短いのではないかと保護者に思われてしまう
今までは塾での授業はブラックボックス。お父様お母さまからは詳細が見えないようになっていました。
SAPIXに限らず早稲アカでも日能研でも、上の学年になればなるほど、問題演習の時間が増えます。
その間先生は宿題のチェックをしたり、解説の板書を書いていたりします。(場合によっては教室内を見回って、生徒がつまずいている場所を確認し、その後の解説の内容を変更します。これをしてくれる先生はいい先生です。)
ですので、保護者の方が想像しているよりは、実際に先生が解説をしている時間は短い可能性があります。
自宅のPCの前で同じ形式の授業をしていると保護者に疑念を抱かせてしまうかもしれません。
「授業とはいいつつ、問題を解いている時間が思ったより長い……?」
上位クラスのご家庭はそれでも離れませんが、気がかりなのは下位クラスのご家庭です。 転塾のきっかけになりかねないと思います。 - 「討論式授業」はどこへ?
サピックスの授業は「討論式授業」とホームページなどで紹介されています。「なぜ?」の発問が生む「討論式授業」
SAPIX小学部のHPからの引用です。
自分で考え、解決方法を見つけていく。一つの発想だけでなく、いろいろなものの見方がある。そんな子どもたちの可能性と学ぶ喜びを引き出していくのがサピックスの指導法の大きな特色である『黒板授業』です。
SAPIXがSAPIXたる所以でもある「討論式授業」が、オンラインでは難しいのでしょう。
画面越しにただ淡々と解説するだけであれば、映像のほうがむしろ生徒にとっても便利かもしれません。時間に縛られずにいつでも視聴できますからね。
しかし残念でなりません。業界のトップランナーたるSAPIXならば、オンラインで討論授業を実現する工夫をしてくれるものかと期待していました。
映像授業で生徒と対話する技術は、大変難しいです。算田がやっているのは1:1のオンライン指導ですので発問とやりとりを通じて気づきを促す指導ができていますが、これが集団となると勝手が違います。
話は飛びますが、東進ハイスクールやスタディサプリの先生たちは、映像授業での魅せ方がとても上手です。
画面越しに生徒と対話しているかのようです。
今まで中学受験業界は、映像授業化の波に飲まれずにここまで来ました。
それも今年までかもしれません。オンラインでの指導に長けた塾・講師だけが生き残っていく時代がすぐそこまで来ているのかもしれません。
また生徒・保護者としても、オンラインでの学習に適合できたご家庭が有利になる、今年はそんな受験になる気がしてなりません。
今後このブログでは、オンライン授業のあれこれについて、できる限り発信していきます。
算田数太郎はブログを始めたばかりです。下のにほんブログ村のリンクから、中学受験の指導法・勉強法ブログのランキングに飛べます。ランキング上位の先生や保護者のブログは参考になることも多いので、是非ご覧になってみてください
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