目次
大人向けの導入
仕事算がサッパリ分からない……
塾で色々な解法を教わってくるけど、いざテストになると、どの解き方を使っていいのか分からなくなってしまう。
そんなお悩みを抱えているお子様が多いのではないでしょうか。
算数が得意な先生は「本質を理解せずに解法暗記をしちゃいけないよ」なんて言うかもしれません。
でも思いませんか? 「本質って何だよ!!」
でもご安心ください!
世の解説書や授業で言語化されてこなかった「仕事算の本質」を余さず言語化してお伝えします。
実は仕事算の解き方の本質とは……たった2つの手順なのです。
2つの手順を意識して学習するだけで、一見バラバラのように思える数多の解法が、まるで背骨が通ったように一本の幹のもとに理解できるようになります。
この解き方の本質は記事の後半でご紹介します。
前半では、仕事算の考え方の本質を解説します。
通常の塾の授業では飛ばされてしまう部分で、要するに「仕事を数字で表すって何???」の理解を目指します。
算数がとくいなある程度得意なお子様は、この部分は読み飛ばして後半から読んでいただいても大丈夫です。
反対に、そもそも仕事算ってなんなの?
解説は聞いたけど、なんかよく分からん!という方は前半から読んでいただけるとより理解が深まります。
仕事を数字で表すって何?
10人で料理したら10倍早くなる!?
世の中にはいろいろな仕事があります。
算数の「仕事算」で扱うのは「人数を増やせば増やしただけ早く終わる仕事」です。
反対に「人数を増やしたって早く終わらない仕事」もあります。
例えばおうちの台所で料理することを考えます。
家の台所で10人が協力して料理したら早く出来上がるだろうか?
想像してみてください。
一般家庭のキッチンに10人も入ったら、狭くてギュウギュウで動けなくなりますよね。
一人でやるより効率が悪くなりそうです。
塾の授業もそうです。
10人の先生が同時に授業したら、10倍分かるようになるだろうか?
なりませんよね。
このように、世の中には「人数を増やしたって意味ない仕事」もありますが、算数ではこういった仕事のことは扱いません。
三素で扱うのは、例えば「折り紙で鶴を1000羽折る」や「畑のリンゴを全部収穫する」のような仕事です。
これなら、一人でやるより10人でやった方が10倍早く終わりますよね。
仕事算ではそんな仕事について勉強していきます。
仕事を数字で表す
言葉で説明するよりも問題を解きながら理解を進めていった方が分かりやすいので、三問出題します。
問題1
解法:3×15=45羽
問題2
1回のパンチで8ダメージを与えられる勇者がいます。7回パンチしたら何ダメージを与えられますか?
解法:8×7=56ダメージ
問題3
1日で⑤の仕事を終わらせる人がいます。(5ダメージのパンチみたいなものだと思ってください)。9日働くとどのくらいの仕事が終わりますか?
解法:5×9=45の仕事を終わらせられる
ここでは、仕事を数字として扱うための、思考の準備をしています。
大人にとっては当たり前だと思うかもしれませんが……「⑤の仕事を9日やったら、㊺の仕事になる」という部分は、直観的には理解できない子も多いです。
そんな子のための、頭の使い方の導入です。
人間の能力には差があるよね
人間の能力には差があります。
すごい職人さんが10分で終わらせる仕事がありました。
この仕事を、昨日職人になったばかりの新人さんがやったとしても、10分では終わりませんよね。
きっと15分とか20分かかるでしょう。もしかしたら1時間以上かかってしまうかもしれません。
人によって能力には差がありますね。
この話は、次の段落で登場する「AさんとBさんの仕事量の比は3:2です」という状況を理解するための下ごしらえです。
能力が初めから分かった状態で全体の仕事量を求める練習
問題
AさんとBさんの能力の比は3:2です。つまりAさんの方が優秀です。
(1)二人が同じ仕事をします。(教室の床をぞうきんで拭く、みたいな仕事を想像してください)早く終わるのはどちらの人でしょうか?
→Aさん
(2)3の能力であるAさんが8分で終わらせる仕事があります。この仕事を㉔と書くことにします。この仕事をBさんが一人でやると何分かかるでしょうか?
→24÷2=12分
AさんとBさんの能力の比は5:3です。
(1)ある仕事を終わらせるのに、Aさんが一人でやると24日かかります。Bさんが一人でやると何日かかりますか?
(2)二人が協力してやると何日かかりますか?
解法
全体の仕事量を求めます。
⑤の能力であるAさんが24日かかるので、仕事量は120になります。
(1)Bさんの能力は3なので、120÷3=40日
(2)AとBが二人協力して仕事すると、能力はどうなるでしょうか? 5の能力の人と3の人が一緒に働きますので、8の能力が出せるようになります。
よって式は
120÷(5+3)=15日
ここまでのまとめ
仕事算の問題を解く手順は、どの問題でもほぼ同じです。
①能力の比を求める
②全体の仕事量を求める
この順番で考えます。
どんなパターンの問題であってもこの考え方はほぼ共通なので、解法の方針を立てるのがグッとやりやすくなります。
上の段落で紹介した問題は、最初から能力の比が書いてある問題でした。
でも問題集に載っているような問題は、こういう書き方をしていませんよね。
文中には、AとBの能力比が遠回しな表現で書いてあります。
次の段落で詳しく見ていきましょう
能力の比を求める問題