算数が苦手だ!嫌いだ! 数の事なんか考えたくない!
そんなタイプのお子様を伸ばしていくにはどうしたら良いのかについて語っていきます。
きっとご家庭で保護者が解説してあげることもあるでしょう。
問題の解き方を分かりやすく、論理的に、何度も何度もゆっくり説明する。
なのに子供は理解しないし、もっと言えば理解しようともしていないように見える……
そんなお悩みはありませんでしょうか?
こう説明すれば絶対わかるはず! と思うような説明をしているはずなのに、なぜか子供が分かってくれない。
もうこれ以上どう説明すれば良いのか……
こんな状況になったことのある保護者の方に是非読んでいただきたい記事になります。
これから書いていく内容は、「分かりやすい解説の仕方」ではありません。
完全にアプローチ方法が異なっているのではないか?子供がまず最初に必要としているのは、「分かりやすい解説」ではなく、もっと別の物なのではないか?
そんな内容の記事になります。
記事は二部構成です。
前半は前置きとして「理解の特性と成績」についてです。
後半は「解説ではなく何をするべきなのか」についてです。
結論は後半ですので、お忙しい方は後半だけでもお読みください。
前置き:理解したいのか?解きたいのか?
4つに分類
子供の理解の特性と成績で、4つに分類したいと思います。
①解法重視・高成績
②理解重視・高成績
③解法重視・低成績
④理解重視・低成績
それぞれ解説していきます。
「解法重視」とは、問題の本質を理解することよりも、効率の良い解き方・公式を見つける事を好むタイプです。
このタイプは、たくさんの問題を解くことでパターンを発見し、覚えた解き方を使って正しく答えを出すタイプです。
「理解重視」とは、効率的な解法にはあまり興味がなく、なぜその方法で答えが出るのか、どうしてそんなことが成立するのかという理由を重視するタイプです。
心から納得・理解できないことには先に進みたくないので、一問一問ゆっくり解きたいタイプです。
この二つは優劣があるものではなく、特性の一種だと思っています。一見すると理解重視の方が良さそうに見えますが、解法重視タイプの方が有利になる事の方がむしろ多いように思います。(詳しくは後半の説明で触れます)
理解重視・低成績タイプの苦難
解法重視と理解重視に優劣は無いと言いましたが、これと「成績の高低」が絡むと、不利になってしまうタイプが一つだけあると算田は思っています。
それは「理解重視・低成績」タイプです。
成績が良い場合は、どちらのタイプでも問題ありません。問題を沢山こなして解法の要点を掴んでいくタイプでも、個々の問題をじっくり追求したいタイプでも、どちらでも塾の授業に合致して学びを進めていきます。
しかし、成績が低い(現状の理解度が低い)場合は話が異なります。
塾の下位クラスの授業のほとんどは、「解法重視」で行われているからです。
言葉を選ばずに言えば「まずはこれを覚えろ!話はそれからだ。本質を理解したい?そんなものは算数苦手な君たちには100年早い!」という感じです。(良いか悪いかは別にして)
つまり、下位クラスの生徒に本質を理解させるのは難しいのでとりあえず解法を覚えさせて問題を解けるようにしてしまおう。という感じの授業が為されています。
これは仕方がない事ですが、しかしこの状況は「低成績・理解重視」タイプには地獄のような状況です。
問題の意味を理解したいし、理解しないことには興味が持てないという特性があるにもかかわらず、塾の授業は「解法をおぼえよう!」ばかりだからです。
全く何の親近感も持てない事柄を覚えろと詰め込まれることは、理解重視タイプにとってはツラいものがあります。
高成績・理解重視タイプであれば、無意味な暗記にも何らかの意味を見出して覚えやすくする技を使ったりしますが(例えば理科の星と星座の暗記で「プロキオンのキは黄色のキだから黄色!プはトイプードルのプだからこいぬ座!」のような)低成績の場合はそんな技もなかなか使えません。
これは困った事態です。
繰り返しますが理解重視であることは悪い事ではありません。
ただ、一般的な大手塾の下位クラスの授業の進め方との相性が破滅的に悪いのです。
低成績・理解重視タイプには何を指導すれば良いのか
結論から言うと「算数の世界と現実の世界をつなげる手伝い」を最初にしてあげることが最も効率が良いのではないかと考えています。
例えば場合の数であれば、計算の方法を覚えるだけでは全く興味を持ってくれません。
「A~Dの4人を一列に並べる並べ方は何通り? →4×3×2×1=24通り!という解法を教わった所で、1ミリも興味を示しません。
それよりは、一度樹形図を書き、その樹形図から「4×3×2×1」という式になることを視覚的に示してあげる……
ではありません!!!
違うんです。理解重視の子が求めているのはこんなことではないんです。このくらいの事であればそこそこ実力のある指導者であれば誰でもやっていますし、算数の得意は保護者の方が教える際もこのようにやっていることもあるでしょう。
違うんです。理解重視の子が求めている「意味が分からない」とはこんなレベルの事ではないんです。
もっと前の段階なのです。つまり「どうして場合の数なんてものを勉強しなくてはいけないのか分からない」という所なのです。
理解重視タイプの子は、その勉強が何の役に立つのか、実生活と同結びつくのかという所が体感できないと全く興味を持てなくなってしまいます。
興味が持てないという事は、つまり勉強してもなかなか覚えられません。
このタイプの子には、実生活の中で場合の数が登場する場面や、使うとどんな良い事が起こるのかを最初に分かってもらうことが、学びの第一歩です。
速さって何? 割合って何? 場合の数って何のために求めるの? 流水算なんて令和の時代に使うことあるの? 蛇口を開いたまま水槽の水を抜くことなんてあるの? そんな疑問が原因で、学びにくくなってしまっているタイプの子が居るのです。
一方で、解法重視の子であれば「この問題はテストに出るから」という一言で興味を持ってもらうことが出来ます。テストに出る→大事→覚えよう という感じです。
「テスト」を大事なものだとみなしているので、テストに出るという時点で自然と興味を持てます。 「テスト」と「興味」の二つが当然のものとして直結するタイプは、勉強においては有利でしょう。
しかし……そうではないタイプの子も居るのです。テストに出るというだけでは興味を持てず、勉強する気になれません。
これは人生トータルで見れば決して悪い特性ではありませんが、受験勉強に限って言えば不利になりやすい特性です。
例の一つとして、「割合」に現実感を持たせるための取り組みについての記事リンクを貼っておきます。
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