さぁいよいよ夏休みです。
6年生にとっても5年生にとっても、勝負の夏となります。
5年生も大手の塾は連日の夏期講習がありますし、6年生にもなれば朝から晩までびっしり講習日程が組まれています。
さて、普段個別指導や家庭教師を併用しているご家庭が、夏の予定をどうしたら良いだろうか? という事について記事を書いていきます。
「塾の講習だけでもいっぱいいっぱいなのに、その上個別塾から10コマも15コマも授業を取るように提案された……本当にこなしきれるのだろうか???」
そんな心配をしているご家庭はありませんでしょうか。
結論から書くと「余りにも多くの個別指導を取りすぎるのは逆効果になる事も」と「塾の夏期講習を削って個別指導を取るのならアリ」です。
詳しく書いていきます。
限界効用逓減の法則
さていきなり読めない漢字のタイトルです。「げんかいこうようていげんのほうそく」と読みます。
経済学の用語です。
ザックリ意味を説明すると「ケーキ1個目は超おいしい。2個目はまぁまぁおいしい。でも10個食べてももうあんまり嬉しくない」
という事です。モノを買ったとき(手に入れた時)に感じる嬉しさ(効用)は、だんだん減っていく(逓減する)という意味の言葉です。
ケーキ0個が1個になったらとても嬉しいけれども、9個が10個になってもあまり嬉しくないですよね。
当たり前の事を難しく言っただけです。(経済学の用語は大体そうです。当たり前の事を難しい言葉で言っているだけです笑)
さて、中学受験の「授業」にも同じことが言えます。
授業は「食べ物」で家庭学習が「消化」です。
どれだけおいしい食べ物でも、消化できる限界を超えて摂取したところで意味がありません。
さて、各塾の夏期講習の授業時間数と、適切な家庭教師・個別指導の時間はどのくらいなのでしょうか?
どのくらいの時間数が適切なの?
5年生の場合
6年生ほどではないにしろ、5年生も連日たくさんの授業日程が組まれています。
これに全て参加しながら、その上個別指導・家庭教師まで沢山受講する……となると、ちょっと余裕がなくなってしまいます。
余裕がないわけではない日程ですので、この機会に授業回数を増やして一気に弱点対策を、という戦略もありますし、反対にそれほど無理せずマイペースに授業を進めるという作戦もあります。
別パターンとして、塾の夏期講習に通わないという大胆な戦略が取れる場合は、一気に弱点対策を行うチャンスです。
現在分からなくなっている原因である基礎の基礎までさかのぼって、徹底的にテコ入れを行うことが出来ます。
(個別or家庭教師のコマを増やすと授業料がかさんでしまいますので誰にでもおすすめ出来ることではありませんが、もし可能なのであれば最も有効な方法です。)
6年生の場合
6年生で大手塾(SAPIX、早稲田アカデミー、日能研、四谷大塚など)の夏期講習にフルで参加される場合には、空き時間が非常に少なくなります。
当然のことですが、どの塾も自分たちの講座だけで受験生が満足できる授業料を確保しようとしています。
(「ウチの塾は授業時間が少ないから、どこか個別か家庭教師で補ってね!」なんていう塾は基本的にありません。当然ですよね)
ですから、そもそも集団塾の夏期講習だけで、キャパシティ的にはいっぱいいっぱいである場合が多いです。
そこから更に個別塾や家庭教師を追加するとなると、使い方をかなり検討して利用しないと、効果が薄れてしまいます。
①午後から授業がある日の午前、のような入れ方
ここで新しい内容や弱点対策のような取り組みを行うのは無理があります。
連日の授業でインプットはいっぱいいっぱいですので、それ以上何かを入れるのは難しいです。
こうしたタイミングで授業を入れるのなら、塾の復習を一緒にやるような使い方が良いでしょう。
前日の授業の復習を一人でやるよりも、先生と一緒に取り組んだ方が吸収が良くなる。というような目的です。
②お盆など数日間授業がないタイミング
どの塾も、お盆休みなどは授業がない事が多いです。
このタイミングで個別や家庭教師を入れるのは良い戦略です。
塾のカリキュラムにとらわれず、独自の動きで対策を打つことが出来ます。まとまった弱点対策を行う最大のチャンスです。
③塾の夏期講習を削る
三つ目として、塾の夏期講習を一部削るという選択肢も考えられます。(小規模塾などで、元々夏期講習の日程が少ない場合もここに含まれます)
漫然と講義を聞いていても成績向上は望めない、それよりは信頼できる先生に沢山授業をやってもらおう! という判断をすることもあります。
これから算数の大幅なテコ入れをしなくてはいけない生徒や、現在進行中で大きな成長をしている最中の生徒にマッチした受講方法です。
個別や家庭教師は授業料が高くなってしまうのがネックですが、その点を許容できるのなら有効な戦略です。
なぜ個別塾は大量のコマ提案をしてくるのか?
算田が以前個別指導塾に勤めていた頃に上司に言われた言葉です。
「生徒の塾の日程や家庭の経済状況などは考えてはならない。生徒にとって最適だと思えるコマ数を純粋に提案してください」
このようなことを言われていました。
一理あると言えば一理あります。
授業料などを勝手に心配して提案コマ数を減らしたり、他塾の都合は考えずにただ有効なコマ数を提案する。というのは理想かもしれません。
とはいえ……例えばサピックス6年生に、「夏のコマ提案15コマ」とかは、どう考えても無謀だと思うのです。
「15コマも授業をしないといけないの……?でも日程的に難しいし……」と悩みを増やしてしまいます。
売り上げ的には沢山授業をしないと経営できないという事情も分かるのですが、生徒のキャパシティや空き時間の量を考えた授業回数を提案してあげたいな、と個人的には思っています。
(算田は当時、もっとコマ提案をしろという上司の指示を公然と無視していました笑)
算田の生徒
生徒の特徴・状況に応じて、ここまで紹介した受講パターン様々に分かれています。
・6年生、塾の授業から多くを吸収できているので家庭教師の授業は特に増やさない。普段のペースを守る
・6年生、算田の家庭教師の授業で成績向上に大きく手ごたえを感じている生徒。夏は塾の夏期講習を一部削り、家庭教師で弱点対策&志望校対策を行う
・5年生、集団塾の授業だけで大幅な挽回は難しいと判断。塾の夏期講習には参加せず、自宅学習&家庭教師で基礎からの総復習を行う
・5年生、塾の授業には順調についていけている。夏の家庭教師回数は特に増やさず、割合の復習と比の先取など重要ポイントに絞って授業する。
など……
生徒に応じて様々な受講方法があります。
生徒の状況やご家庭の状況に応じて、最適な方法・回数でお役に立てればと思います。
まとめ:無理な授業回数は逆効果!
夏休み、特に6年生は、個別塾に言われるがままに沢山のコマを受講することは逆効果になりかねません。
しっかりと考えたうえで、お子様に必要だと判断されたのなら問題ありません。
でも、もし塾に言われるがまま大量のコマを受講してしまっているのだとしたら、一度立ち止まって考えてみても良いかもしれません。
もしも今の予定が多すぎると思ったのなら、受講スケジュールの見直しなどをされてみるのも良いかと思います。
皆様にとって、実りある夏休みとなりますように!