「個別指導塾」と聞くと、通常は「講師一人に対して生徒一人」の指導をイメージするようですが、実はそうでない場合もあります。
「個別指導」を謳っている場合でも、1:2や1:3、場合によっては1:5などの場合もあるようです。
1:5にもなれば感覚的には「いつでも質問できる自習室」のような感じでしょうか。
1:1は分かりやすく個別指導です。家庭教師とほぼ同じサービス内容になります。
では、1:2の個別指導とはどのようなものなのでしょうか?
記事の前半では、1:2指導は何を狙っているのかやどの程度効果的なのかについて。後半では、1:2指導を効果的に受けられるのはどんなタイプの子供なのかについて解説していきます。
目次
1:2の個別指導とは?
先生が1名、生徒が2名で同時に授業するタイプの個別指導です。
イメージとしては、まず一人目に解説を行い、その後問題演習をさせている間に二人目の解説をし、それが終わった段階で再度一人目の解説をし、……と繰り返すようなスタイルです。
結論を先に書いておくと、算田はあまりお勧めしない指導形態です。1:2で有効に活用できる生徒は非常に限られます。いくつもの条件がそろわない限りは、指導効果が限定的になってしまうように思います。
メリットは?
よく謳われるメリットとしては
①1:1の個別よりも指導料金を抑えられる
②1:1と変わらない指導効果
かと思います。しかし算田の実感としては
①集団授業よりも高額な指導料
②個別指導のようなきめの細かさが出せない
と、両方のデメリットを取り合わせてしまっているような気がしています。
授業料がかかっても大丈夫なら1:1を。授業料を抑えつつエッセンスを習いたいのなら集団指導(複数人指導)を。
どちらかの方が適していると思います。
1:2はどっちつかずの中途半端なような……
1:2指導が機能する条件とは?
算田の今までの経験で、1:2指導で効果を出せるのは極めて限定的な状況です。
その中で、これらの条件が合致しているのなら、1:2でも効果を出すことが出来ると算田が考えている条件について説明していきます。
ちなみにこれから紹介する条件の基となっている事例は
①指導期間約1年。指導開始時から約+15の偏差値の学校(明大中野八王子)へ合格
②指導期間約6か月。指導開始時から約+15の偏差値の学校(香蘭)へ合格
などです。算田が以前某個別指導塾に勤務していた際に指導した生徒です。
授業中にあまりしゃべらないタイプ
子供の性格にも色々あり、授業中に講師とのコミュニケーションを取りながら理解していくタイプと、説明を聞いている時には無言になるタイプがあります。
無言になるタイプの子供は、おそらくですが、説明の論理を理解するのに全力を出しており、会話をしている余裕はない。一言も聞き漏らさないように集中して説明を聞いているように思います。
このタイプの子は、1:2の限られた指導時間でも集中して吸収してくれるように思います。
反対に、先生と会話しながら信頼関係を深めていきたいタイプの子にとっては、慌ただしさもある雰囲気での授業は合わない事が多いと思います。
主体的に勉強する
1:2指導では、1人に使える指導時間が限られます。
もう一方に解説している間に、自分で次に扱う問題を開いて先に解いておいて「先生、早くこっちの解説に回ってきてよ。解説の時間を1秒でも無駄にしてなるものか」と待ち構えているタイプであれば時間を有効に使えるでしょう。
片方の解説を終えてもう一人の方に向き直ると、時間ロスゼロ秒ですぐに二人目の解説に入れる状況を、生徒が自発的に整えられるような子であれば、有効利用できるかもしれません。
このくらいの気合で勉強に臨んでくれる子であれば、1:2も有効に使えるでしょう。
偏差値帯が最上位ではない
仮に1:2指導で二人とも開成志望、指導内容は過去問に準ずる難度の問題の質問だったとします。
その場合、講師が片方の解説を終えてもう一人の方に向き直ったとしても、即座に解説を始めるのは難しくなります。
算数講師と言えども、最難関中学の問題を一目見ただけで解説するのは難しいです。(一部の天才講師であれば可能な方もいるのかもしれませんが、算田はそこまでは出来ません)
偏差値60くらいまでの生徒が取り組む問題であれば、見た瞬間に大体の方針はつかめるので、ロスタイム無しでポイントを見抜いて、一言ヒントを言って気づかせることも可能です。
ただ最難関ともなると……そう話は単純ではないですし、問題の核となるポイントにたどり着くまでにも手順が多いので、解説時間が長くなります。
そうするともう一人を長く待たせてしまうことになり……
ということで、最上位の生徒に1:2は向かないと思います。
全て当てはまるのなら、1:2でも可
上にあげた特徴の全てに当てはまるのなら、1:2指導でも変わらない効果が出せると思います。
どれか一つ当てはまれば、ではありません。全てです!
それくらい1:2指導は難しいです。
正確に言えば「1:1と同等の指導効果を1:2で出すのは難しい」です。
集団指導の焼き直しレベルの授業で良いのならいくらでもできますが……。
それならば初めから集団授業や複数人授業に通った方が、授業料を抑えつつエッセンスを学べます。
ということで結論としては
・かなり限定された状況以外では1:2指導はおすすめしない
・1:1指導か複数人指導か、どちらかの方が良い
です!
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