6年生の後半になり、塾の志望校別講座の問題や過去問が急に解けなくなるという上位生がいます。
それまでは特に苦手単元もなく、全体的に解けていたはずなのに、なぜか過去問やそれに類するレベルの問題になると解けなくなるというお子様がいます。
全く分からないのかというとそうでもなく、解説を読めばどうやって解くのかは理解できるそうです。
しかしその解法を試験時間内に思いつける気がしない、特別なひらめきがないと出来るようにならないのでは?と悩む生徒・ご家庭に向けて書きます。
キーワードは「手前から順に考える」と「ゴールから逆算して考える」です。
そこまで難しくない問題は手前から順に考えていけば求められる
そこまで難しくない文章題は、問題文で提示された条件を見て「次に何を求められるかな?」と順々に考えていけば、いつの間にか答えが出ていることが多いです。
例えば速さの問題であれば、速さを求めたり時間を求めたり、比を使ったり色々していると気づけば答えの数値が出ていた、というケースが多いです。
グラフの問題であれば、グラフ上の数値をとりあえずいくつか求めている内に、設問で問われている数値まで行きついていたというような経験が多いのではないでしょうか。
この段階の問題であれば、いわば「適当に」解いていたとしても答えを出すことが出来ます。
上位校の問題はゴールから逆算して考えないと思いつけない
では上位校・難関校の入試問題ではどうなるのでしょうか。
応用問題になると、問題文で提示された条件から答えを出すまでのプロセスが長くなります。
イメージですが、「まず〇を求めて、次に△を求めて、〇と△の比を使って◇と◆の比を求める。その◇と◆と▲の比を連比させて図形Aと図形Bの面積比を求める。」
のような感じになります。(実際はもっと複雑です)
こういった解法で解く問題において、まず一手目である「〇を求める」が思いつきづらくなります。
〇を求めること自体は簡単だとしても、それがどう答えまで結びつくのかが想像できないのです。これは本当に難しいです。
初手の〇を求めている段階では、ゴールである設問の答えまでの距離が遠すぎて、どういう道筋で答えにつながっているのか想像できないのです。
ここで発想の切り替えが必要になります、
問題文から順に考えていくのではなく、設問で問われていることから逆算して考えていくのです。
例えば「図形Aと図形Bの面積比を求める問題だから、◇と▲の長さの比が分かれば求められる。じゃあ◇の比はどうやったら求められるだろうか。〇と△が分かれば出せるな。そのためには……」
のように、「答えを出すためには何が分かれば出せるか?→そのためには更に何が分かれば良いか?→それが分かるためには何が?……」のように、求めたいものから逆算して考えていくことが必要になります。
考える道筋・考える順序までは集団授業では教えにくい
さて大手の塾の授業でこういった指導はなかなか行われていないです。
問題演習を繰り返す中で、自然とこうした考え方を獲得するのを待つ方針かと思います。
さて、上位生の成績を更に伸ばすためには、こうした考え方の転換や方針の立て方を提供することが有効です。
単元ごとのテキストを解く力のあるお子様を6年生後期から更に伸ばすのなら、その知識・能力をどう使えばよいのか、方針の立て方に比重を置いて指導します。
算数の得意なお子様は、大体の方針を伝えると「あ!分かったかも!あとは自分でやってみる」と言って自力で答えを出してくれます。
答えを提供することで子供が考える機会を奪ってはいけません。指導者はあくまで「導く」に徹します。「こうやって考えると良いことがあるよ」という道具を渡して、あとは自分で使って上達するように促します。
上位生を指導する際の家庭教師の仕事は、解法知識を伝える事はもちろんですが、方針の立て方・見分け方を鍛えることが重要です。
塾のテキストの問題では成績が良いが、模試などの難問を解き切る力があと一歩足りない。というご家庭は良かったら参考になさってください。