中学受験のプロ講師なら皆が問題の解き方は全て分かって当たり前。
……だと思っていませんか?? 意外とそうでもないんです。解けない「先生」もいます。
開成の入試問題が解けないとかそういうレベルではなく、サピックスの通常テキストに普通に出ている問題が解けないという、なんとも低レベルな講師も実在します。
解けなかったとしても誤魔化しが上手な先生もいます。
問題の解き方が分かっていない先生が授業をするとどのようになるのか、いくつか事例をご紹介します。
事例1 結果ありきで解説する
例えば立体切断の問題です。
通常の切断ならばさすがにできると思いますが、難関校向けの問題ですと立体を2回切断して、その体積を求めるような問題があります。
2回も切断するとどのような立体になるのか分からないという先生は意外といます。
そうした先生は、どのようにして解説を乗り切るのでしょうか?
「先生!立方体を3点APQを通る平面で切断した後に3点ABCを通る平面で切断するとどういう形になるんですか?」
「それはね……ちょっと解答を貸してね。……えーっと……こう!こういう形になるよ」
「えー先生!なんでそうなるってわかるんですか?」
「それは……頭の中でイメージするんだ!」
「ええ!?」
極端な例だとこんな感じです。
「こういう形になる!」という結果だけ示します。どうしてその結果になるのか、そこに至るまでの道筋の説明が一切ないのが特徴です。
事例2 いきなり先生が図を書いて説明する
これも事例で説明しましょう。
「先生!この旅人算が分かりません!5行も6行もある文章問題、意味がわかりません!」
「よし!図を書いて考えよう!Aさんがこっちから来て、Bさんが…(中略)…こうしてこうして、こう!」
「なるほど!そういうことだったのか!!すごい良く分かった!!」
さて、この事例のどこに悪いところがあるのか、お分かりでしょうか?
旅人算の問題で図を書いて考えるのは王道で、それ自体は良い方法です。
良くないのは、先生がすぐに図を書いて見せて、それで終わりにしてしまっているところです。
果たして先生が正しい図を書いているのを見て、子供は次から一人で書けるようになるでしょうか?
解き方のデモンストレーションになっていないか、保護者がよく注意して判断すべきです。
正しい解き方を綺麗な図と共にスラスラと解説されると、子供の感想としては「分かりやすかった!」となります。分かりやすいことと、次に一人で解けることは別です。
成績上位生であれば、正しい解き方を見れば次から真似できる子も居ます。そういう子であればそれでも良いでしょう。
しかし家庭教師を依頼するご家庭の多くは苦手対策であり、算数が苦手なお子様にスポットを当てて指導すべきです。
先生の授業が「解法の独演会」になっていないか、保護者が大人の目線でよく判断してください。
まとめ 解けていない解説を見破るのは、結構難しい
事例1と2をご覧になって、いかがでしょうか。
私たちのような同業者が見れば一目瞭然なのですが、一般の保護者がこれを見破るのは難しいと思います。
どうか家庭教師の身勝手な独演会に高いお金を払うことのないよう、お気を付けください。
解説してくれるだけの先生ではなく、正しくお子様を「鍛えて」くれる先生に教えてもらいたいものです。
注意喚起としてご参考にしてください!