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指導法

算数の能力とは何か!?

タイトルの通り「算数の能力とは何か?」というテーマです。

一言に「算数の能力」と言っても、何を指しているのか分かりにくいですよね。

計算力? 解法を知っている事?それとも……?
普段意識されることは少ないが、実は「算数の能力」として欠かせないものを二つ紹介します。

それは「情報整理・作図の力」と「試行錯誤・あてはめ・書き出し・失敗から学ぶ」です!

 

解法知識

算数の力と言うと、まず解法知識が思い浮かぶ方が多いのではないでしょうか。
確かに大切ですし大きなウェイトを占めていますが、これだけでは算数の力は伸びていきません。

にもかかわらず、解法知識を生徒にインプットさせる指導しかしていない講師も少なくありません。
それ以外にも大切なことがあるよ! と言うのがこの記事の主題になりますので、次の項目からを是非ご覧ください!

情報整理・作図の力

算数全般を通して大切な能力が「情報整理」です。
問題文中に登場する多種多様な情報を、図や表の形に書き換えて理解する能力です。

中学受験においての「情報整理」は「作図」と言い換えてもほぼ同じ意味です。

さて、作図と聞いて思い浮かべるイメージは、書き方の決まった、システマチックな図かもしれません。
例えば速さの線分図、ダイヤグラム、つるかめ算の面積図、和差算の線分図など……

しかし算数において最も重要な作図能力は、こういった書き方の決まっている図ではありません。
初見の問題に対して、その場で考えて「なんとなくいい感じの図や表を書いて整理する」。そんな能力が大切です。

例えば次の文章を理解して、図にまとめてみましょう。

サッカーワールドカップで、日本が最終予選から本大会に出場するための仕組みは次のようになっています。
まず、各大陸ごとに最終予選が行われます。日本が所属するアジア最終予選は、6チームずつの2グループに分けられ、各グループの1位と2位が本大会への出場権を獲得します。
各グループの3位となった国同士でアジアプレーオフを行い、勝利した国は大陸間プレーオフに出場します。
大陸間プレーオフで勝利した場合も、本大会に出場できます。

実際のサッカーワールドカップの仕組みです。
サッカー通なら常識かもしれませんが、初めて読んでこれを理解するのは少し大変ですよね。
この文章を読んだ際に、下の画像のような図を即興で作れるでしょうか?

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決して綺麗な図ではありませんが、小学生でこれくらいが書ければ十分です。
欲を出せば工夫の余地はありますが、即興でこのくらい書ければ及第点ではないでしょうか。
(私自身、きれいな図を書くのは苦手です。この図を掲載するのも少し恥ずかしいです……)
文中には様々な名称の大会が登場します。これらの関係性が理解できるような図が書ければOKです。

この図は、特に書き方を塾で習うというものではありません。
文を読んで、即興で「こんな感じかな?」と書くものです。

作図能力とは、言い換えると情報を構造化する力です。
「アジアプレーオフ」と「大陸間プレーオフ」がどのような関係性にあるのか、並列なのか直列なのか。

本来鍛えたい能力は「情報を構造化する能力」です。
小学生向けにそれを鍛えるための手段としての「図を書こう!」です。

図を書くという事は、自動的に情報を構造化しています。
情報同士の関係性を認識できるようにしよう!などと小学生に言っても伝わりませんので「図を書こう!」という練習をします。

ということでまとめると
情報の整理は作図力!

です。

どうやって指導するの?

図や表にまとめる練習は、段階を踏みます。
まず全く出来ない苦手な子に対しては、目の前で私がお手本の図・表を書いて、それを書き写してもらいます。
まずはお手本を見て、自分の中に「正解」のストックを作ってもらいます。
最終的には自分なりに工夫した図を自由に書いて欲しいのですが、最初の段階では「型」を教え込んでいきます。
「守破離」で言う所の、まずは守の段階です。

次の段階は、少しだけ方向性をアシストします。
問題を読み、生徒が「うーん……」とうなっていたら「こんな感じで図を書いたら良いんじゃない?」とザックリ方針を示します。
この時、あえて図は雑に書いて示します。

何となくこんな感じの図!だけが伝わるようにして、細部は生徒自身で考えて作ってもらいます。
出来た図に対して、より見やすくするためのアドバイスをして修正していきます。

最後は何も言いません。
指導者が言わなくても、一人で図や表を書いて整理できるようになったら完璧です。
2月の受験までに、この状態になる事を目指しています。

試行錯誤・あてはめ・書き出し・失敗から学ぶ

試行錯誤が大切とよく言いますよね。
とりあえずやってみよう! や、全部書き出して調べてしまえ! と言うような作業の事です。

例えば
□×5+6=□×□ (□には同じ数が入ります)

という問題があったとします。
この時の反応は、子供によって大きく二つに分かれます。

固まって動かなくなる子と、とりあえず1から順番に当てはめていく子です。
この問題の答えは6ですので、1から順にあてはめていけば1分とかからずに答えが出ます。

次の問題ではどうでしょうか

□×□=2809(□には同じ数が入ります)
これも二通りに分かれます。
固まってしまう子と、とりあえず適当に数を入れてみる子です。

適当に実験したとしてもいずれ答えは出せます。
「適当に入れてみよう。30×30は……900か。40×40だと……1600だ。50×50だと……2500。おっ近い。55×55=3025。行き過ぎた。54×54=2916。惜しい。53×53=2809だ!見つけた!」

こんな感じです。答えは53です。
(本当は1の位が9であることに着目すればより効率的に絞れますが、今回はそれは置いておきます)
こんな感じで、とりあえずやってみて、失敗から学んで段々答えに近づいていくような力が算数学習においては重要です。

難関校の入試問題で出題されるのは、こうした試行錯誤が必要な問題が多いです。

どんな子が強いのか

私が実際に指導で見てきた経験での話にはなりますが、楽しんで何かをやっている子は強い傾向にあります。

スポーツをやっていたり、音楽や絵が好きだったり、いたずら好きな性格だったり……
スポーツをやっていた子はこの分野は強いです。きっと、失敗から特徴を抽出して次に活かすという経験が多いのでしょう。音楽をやっていた子も同様です。失敗から学ぶことに強い傾向があると思います。
いたずら好きな性格の子も試行錯誤は強いです。「問題の裏をかいて、裏技で答えを出してやろう!」くらいの気概があった方が伸びます。

教わったことを素直に実行するタイプより、独自の工夫を出したがるやんちゃタイプが得意な分野になります

とはいえ、素直で真面目なタイプの子だって試行錯誤が出来るようになりたいですよね。
難関校を受験する場合には「とりあえずやってみる」が出来るように練習する必要があります。

素直で真面目なタイプのお子様が、試行錯誤が必要な学校を志望校とする場合には、「とりあえずやってみる」というクセを一年かけてつけていきます。

算数の分野としては「数の性質」や「場合の数」で練習します。
知識を教えるだけでなく、根本的な部分である試行錯誤する力も含めて指導することが大切です。

短文読解・算数読解 

算数的な文章読解については、以下の記事で解説しています。
良ければこちらもご覧ください。

参考短文読解は算数。長文読解は国語【中学受験版悪魔の辞典】

中学受験版悪魔の辞典というTwitterアカウントがあります。 https://twitter.com/devils_dic_edu/status/1585869287180627969辞書パロディー ...

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まとめ

算数で必要となる根本的な能力として「情報整理・作図」と「試行錯誤・あてはめ・書き出し・失敗から学ぶ」を紹介しました。

短期的に成績を上げるだけであれば、解法の知識を教え込めば良いかもしれません。
しかし長期的に生徒の能力を挙げていくためには、もっと根源的な部分も指導していく必要があります。

今回は大きな二つの例を紹介しました。
指導期間が一年以上になる場合には、単なる知識に留まらない部分まで能力を向上させていきたいと思っています。

「算数の力」とは具体的に何なのか、それを上げるために講師は何をしているのか。
そんなことを紹介させていただきました。

 

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