皆さまはこんな経験はありませんでしょうか。
さぁ今から塾or家庭教師の授業だ。なのに……急に子供が眠いと言い出す!
授業なんだから、何とか目を覚まして勉強して欲しいのに、子供は頑なに動こうとしない……
あぁイライラする!!!
ありませんか? ありますよね。きっとあると思います。
私が家庭教師でご家庭にうかがう際も、たまにある光景です。
お母様が申し訳なさそうに「すみません……眠いと言い出したので少し寝かせているんです。いま起こしてきますので……」みたいなことがあります。
さて、授業が始まるタイミングであからさまに眠そうにしている生徒への対応は、算田は次の三点をすることにしています。
①その日、何か疲れることがあったか聞き取る
②辛い気持ちに共感の言葉をかける。それは眠くなるのも当然だねとねぎらう。
③辛いのは分かったけど、でも勉強しようと促す。
の三段階です。
順を追って説明していきますね。
記事の前半では「そもそも眠い原因は何か?」について解き明かしていきます。
後半では、なぜ冒頭で挙げた三点が効果的なのかについて解説します。
眠い原因は「本当に眠い」と「眠いアピールをしたい」の複合要因
算田が家庭教師としてご家庭にうかがって、さぁ授業だ! という段階で、急に眠くなって机に突っ伏したり、不機嫌になったりする子が居ます。
小学生だからそんなもんか……と思うかもしれませんが、もう10歳や、11歳、12歳にもなれば「家庭教師が来たのだからシャキッとして勉強しなければならない」という事くらいは分かっています。
にもかかわらず、幼児退行したかのように机に突っ伏したり不機嫌になっているのはなぜか……と考える所がスタートです。
原因の半分は「本当に眠い」ですが、もう半分は「眠いアピールをしたい」ではないかと思うのです。
つまり、きっとその子はその日、何か疲れる事があったのです。
体育のマラソンだったり、学校イベントの準備だったり、友達とケンカしただったり……
嫌なことがあったのに、その上家に帰ったら家庭教師がやってきて勉強させられる。なんと不幸なことか!!!
自分はこんなに疲れていて辛いのに、勉強させようとするなんて、なんて酷いんだ!! 気分が悪い!
きっと子供の頭の中はこんな感じになっているのではないかと思うのです。
さて、そうはいっても算田は家庭教師。
疲れていても勉強はしてもらわないといけません。
家庭教師に解決できるのは半分だけです。
つまり「疲れた・眠い」はどうすることもできませんが「疲れたアピールをしたい」の方は解決が可能なのです。
「あなたは今疲れているし、とても辛い」という事を共通認識化する
さて、家庭教師は医者ではないので実際の疲れを癒してあげることはできませんが、「疲れたアピールをしたい」という欲求を満たしてあげることはできます。
それが、冒頭で挙げた三段階です。つまり
①その日、何か疲れることがあったか聞き取る
②辛い気持ちに共感の言葉をかける。それは眠くなるのも当然だねとねぎらう。
③辛いのは分かったけど、でも勉強しようと促す。
です。
例えば次のような会話。
今日は何か疲れる事があったの?
→体育がマラソンだった
→マラソン!それは疲れる。マラソン走った後に勉強なんて、とても出来ねぇな。まぁ無理だ。眠くなるのも分かる。
→うん。
→疲れているのは分かった。眠いのも分かる。でもまぁ、今は勉強しよう!
こんな素人のカウンセリングでも、小学生には効果があるようです。
どうやら子供から見ると「自分の辛さを分からずに勉強させようとする大人」よりは「辛さを分かったうえで、なお勉強させようとする大人」の方が心理的にまだマシなようです。
(辛いと知ったうえでやらせようとする分後者の方が悪質なような気もするのですが、感情的にはそうではないようです)
強い言葉で叱るのは悪手
ここまでの流れからお分かりかと思いますが、強い言葉で叱るのは悪手です。
なぜなら、叱ることで「自分の辛さを分かってくれない!」という気持ちをより増幅してしまう為、子供はより強硬に「眠いアピール」をするようになります。
テコでも動かない構えで寝ようとするでしょうし、絶対に勉強しないという決意を固くします。
つまり、アピールしたい相手に対して、力でねじ伏せようとするのは悪手中の悪手です。
「分かってくれない! 察してくれない!」となり、意地でも動かなくなります。
(長期的な教育方針として「甘えてんじゃねぇ!」というこの世の厳しさを伝えたいのならば話は別ですが、目の前の勉強をやらせるという点では、強く叱ることは逆効果です)
良くも悪くも「講師」だから出来る事
さて、ここまで書いてきた対処法は、家庭教師と言う他人の立場だからこそできる技だなとも思います。
自分の家族・子供が相手であれば、こうもいかないだろうと思います。
あくまで「家庭教師が目の前の授業を2時間を集中して勉強してもらうためのテクニック」としてお読みいただければ幸いです。
※本当に寝不足で眠くなっている時にはこの技は使えません。その時は速やかに寝かせましょう。