「リンゴは何色ですか?」という問題を生徒が間違えていた場合のことについて解説していきます。
正しい解答は「リンゴは赤色だよ」でしょうか。
ただ家庭教師としては0点の解答です。
質問されたことに答えを返すだけであれば大学生のアルバイトでもできます。
プロの講師がやっているのはこうしたことではありません。
相手が何を疑問に思っていること、分かっていないことは何なのか。
どこの知識・感覚が抜けているから答えられないのか。
これを特定して、最適な指導をすることが求められる仕事です。
目次
可能性1 リンゴを知らない
最も初歩的な段階として考えられるのは、リンゴというモノそのものについて何か抜けがある場合です。
まずはリンゴの写真を見せてみることで、どのような反応をするか判定します。
「これは何?」(リンゴの写真を見せる)
分からないよー→リンゴを知らないし見たことない。
【指導内容】リンゴの実物を見せ、リンゴという名前である事を教える
あ、これ食べたことある→リンゴを見たことはあるが、それが「リンゴ」という名前であることを知らない。
【指導内容】この果物の名前が「リンゴ」であることを教える。(色が赤であることは教えなくても分かる)
んー?みかんだっけ?→名前を間違えて覚えている。
【指導内容】この果物の正しい名前が「リンゴ」であることと同時に、「みかん」の実物も見せる。(「みかん」についての正しい知識も指導しないと、将来的にリンゴとみかんのどっちだったかで混乱を招く)
知ってるよ。リンゴだよ→「リンゴ」の実物と「リンゴ」という名称の対応は正しく理解できている。
【指導内容】「リンゴ」に関する知識が抜けているのではないかという予想は外れていた。次の判定に移ります。
可能性2 「色」に関する知識に抜けがあるのではないか?
次に考えるのは、「色」に関する知識に何か抜けがある可能性です。
色を知らない可能性は低いですが、念のため確認しておきます。
赤い絵を見せて「これは何色?」
なんだっけ……わからない→見せた色が「赤」である事を知らないか、又は「色」という単語の意味が分かっていない。
【指導内容】色についての知識を指導する。
何当たり前の事を聞いてるの?赤だよ→見せた色が「赤」である事は分かっている。
【指導内容】「リンゴ」という言葉とリンゴ実物のイメージは合致していて、かつ赤色についても正しい知識を持っている。にもかかわらず「リンゴは何色?」に答えられないので、原因は別にある。
可能性3 皮は赤いが実は薄黄色。皮が緑色のリンゴは青りんご呼ぶ。どれを答えて良いのか分からない。
可能性2までの判定を全てクリアした生徒の場合、問題に答えられない原因は他にあります。
大体の場合、生徒はここまでの簡単な質問にうんざりしていますので
(はいはい……リンゴは赤色なんでしょ。そんなの見れば分かるよ。もっと別のことを聞きたかったのに……)
という事を口には出さずにただ不満げに解答欄に「赤」と書きます。
その様子を見て「もしかして、皮の赤と実の薄黄色のどっちが答えになるかで悩んでいたんじゃないの?」と気づけるか
「そう、赤が正解だ。やったね!」で済ませてしまうのか。
ここが分かれ道です。
生徒の知識状況から、当然答えを導けるはずなのになぜか釈然としない態度をとっていた場合には、何か別のところに原因があります。
答えが赤で正解なことは分かったけど、なんか納得いかない……
という場合。実が薄黄色であることや、皮が緑色のリンゴのことを「青リンゴ」と呼ぶことなど、周辺の関連知識との整合性に納得がいっていない場合があります。
複数の解法がある問題などで生じやすい疑問です。
「その方法で解けるのは分かったけど、自分が考えていたこっちの方法のどこが間違っているのか?そもそもこも考え方は使えないのか?」という高度な疑問です。
生徒の「分からないポイント」を見抜く重要性
今回は「リンゴは何色ですか?」という問題を例に説明しましたが、同様のことが算数指導においても発生します。
安易に「リンゴは赤色だよ」と教えて終わり。のような指導にならないようにしましょう。
何が原因で答えが出せないでいるのか。
どこが分からくて困っているのか。
そんなことを考えながら教えてあげると、お子様の成長につながるのではないかと思います。
家庭内で指導される際の参考にしてみてください。