2進法や5進法といったN進法の問題は入試には絶対に出ない! というテーマで書いていきます。
「ウソをつくな!実際に入試には出ているじゃないか!」という声が聞こえてきそうですが、まぁまぁ、ちょっと待ってください。
もう少し読んでいただければ、どういう意味なのか分かっていただけると思います。
そもそも中学入試とは、表向きは公立の小学校で習う内容からしか出題されないことになっています。
言い換えると、学習指導要領に含まれている内容からしか出題しない。とされています。(原則では)
つまり名目上は、公立の小学校の勉強をやっていれば、開成や麻布の入試でも、頑張れば解けるよね!というのが建前です。(実際には塾で勉強しないとトップ校に合格することはほぼ不可能ですが……)
さて、N進法は公立の小学校では習いません。学習指導要領には含まれていないはずです。(多分)
なので、N進法の問題は中学入試では出してはいけないことになっているのです!!!
……ええ!? 実際は出てるじゃん! そう言いたくなる気持ちは良く分かります。でもそれにはちゃんと理由があるんです。
実際に出題されるような問題には、以下のようなものがあります。
問題
下の図のようなスイッチとメモリがあります。スイッチを1回押すと右のメモリが1を示します。2回押すと2、3回押すと3を示します。4回押すと右のメモリは0に戻り、真ん中のメモリが1を示します。
このように、右のメモリが1回転すると真ん中のメモリが1進み、真ん中のメモリが1回転すると左のメモリが1進みます。
さて、スイッチを20回押したときにメモリはどのようになっているでしょうか。
この問題は、普通は4進法の問題として教えられます。
さて、この問題文中に「進法」という言葉は含まれていましたでしょうか……???
見返してみると、文章中のどこにも「進法」という言葉は含まれていないのです!
ですから、こうした問題が中学入試で出題される際の学校側の言い訳としては
極端にするとこんな感じです!
あくまで「メモリの問題」や「マス目を塗る問題」や「筒にボールを入れる問題」というテイで、うまく「進法」という言葉を使わないでN進法の問題を出題しようと工夫した結果が、こうした問題形式なのです。
なので、算田が冒頭で指摘した「N進法の問題は入試に出ない!」というのは次のような問題です。
問題
10進法の20を4進法で表すといくつになりますか?
こうしたシンプルな問題が中学入試で出題されることは(基本的には)ありません。※探せば何件かは出題されたことがあるかもしれませんが、そこはまぁ私立の学校なので自己責任で出題しているということで……
ただメモリの問題と本質は同じです。答えはどちらも110です。
さて、こうした「名目上はN進法の問題を出題しない」という縛りによって、N進法の問題文や状況設定は面倒になっています。
直接的に「10進法の20を~」と言わずに、「スイッチを20回押したとき~」のような表現に書き換えられてしまっているからです。
なので受験生は、問題文中の「スイッチ」や「ボール」、「メモリの示す数」がつまり何を意味しているのかを読み解かないといけません。
スイッチは10進法のことで、メモリが4進法の事だ! と分かってしまえば、後は基本問題に帰着させられますので簡単です。
中学入試の隠れた制約のせいで(!?)問題文が複雑になっているN進法問題。
勘のいい小学生は「なんでこんな面倒な文章にしているんだ?」という素朴な疑問を持つこともあるので、その際はこうした裏話もしてあげると納得することが多いように思います。
今回の記事はコラム的な内容ですが、役に立てば幸いです!
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