10月になり、2月の入試まであと4か月です。
この時期になると、宿題がこなせなくて困るというお悩みをよく聞きます。
平日は2~3日の平常授業。
SAPIXであれば土曜に土特、日曜にSS.。早稲アカであればNNや難プロなど、土日にも塾の授業が一日中入っています。
この空き時間で宿題や復習をやらなければならない上に、志望校の過去問を解く時間も確保しなければなりません。
どうしても時間が足りなくなります。
6年生前期までの「宿題が終わらない」は勉強時間を増やすことで解決できましたが、これからの時期の「宿題が終わらない」は、もはや全ての時間を勉強に使ったうえでの時間が足りないになります。
となると、課題に優先順位をつけて大事なものを選別して学習する必要があります。
今回は、宿題・課題の重要度を判断する基準をお伝えします。
算田が実際に指導している生徒には「〇〇プリントと〇〇プリントを優先して」のように細かく指定していますが、今回はその根底となる判断基準に焦点を当てて書いていきます。
目次
第一優先 志望校の過去問
言わずもがなですが、過去問は最優先です。
志望校の合格可能性を高めるのに最も有効な勉強です。
1週間に1年分解くことを目安にしましょう。
塾からの宿題が多すぎると、宿題に追われて過去問を解く時間が取れない……となってしまうことがあります。
発想を逆にしましょう。
1週間の中で過去問を解く時間をまず先に確保し、その後で塾の宿題をどの時間で取り組むか考えましょう。
第一優先 塾で解説があった問題の直し
同率一位が塾で、授業内で解説があった問題の直しです。
理由の説明の前に、優先順位を決める基本的な考え方を書いておきます。
それは時間効率(コストパフォーマンス)です。
短い時間で最大の学習効果を出すことが目的です。
塾の授業内でバツだった問題は、先生が時間をかけて解説してくれています。
その問題は授業内で解説というエネルギーが投下されていますので、全く新しい問題を解く学習と比べて価値が高いです。
例えば初見の新しい問題を10問解いて、そのうち7問は解けて3問がバツだとしましょう。その3問は、自分で解説を読んで正しい解き方を理解することで、自身のレベルアップにつながります。
ただ逆に言うと、時間を使って10問解いても、分からない問題は3問だけでした。打率3割です。その上、理解するためには自分で解説を読んで頑張らないといけません。これにも時間がかかります。
一方で塾の授業内でバツだった問題というのは、確実に「今足りない問題」です。
授業内でバツだった問題を10問集めれば、自分にとって必要な問題が凝縮された10問になります。
その上、この10問は既に先生が解説してくれています。せっかく受けた授業の解説を忘れずに定着させるために自宅で復習に時間を使うのは効率が良い勉強です。
自分でゼロから解説を読んで知識を吸収するよりは、授業内で解説された知識を定着させるために時間を使った方が効率的です。
まとめると、塾でバツだった問題の解きなおし学習は
①今の自分に足りない問題が凝縮されている
②既に先生の解説がされているので、知識を吸収しやすい
の二つの理由から最も効果が高いです。
予想される反論 新しい問題を解く時間も大切なのでは?
「塾の授業内で解説された問題の解きなおしが優先」という指針に対して予想される反論としては「新しい問題を解く時間も大切なのでは?」というものが考えられます。
しかしこれは以下の2つの理由から、気にしなくて大丈夫です。
①塾の授業内で新しい問題を解いている。土曜・日曜の授業は演習中心なので、初見の問題を解く経験は授業内で十分積んでいる。
②過去問を解くことでも初見の問題を解く経験は積める。
よって、塾の授業プリントの復習・宿題においては、授業内で解説があった問題の解きなおしを最優先としましょう。
第二優先 授業内テストの直し
授業内で行われるチェックテストの直しが第二優先になります。
理由は第一優先の時と同じです。
解きなおしが第一優先だった理由は
①授業内で間違えた問題は、今の自分にとって足りない問題が凝縮されている
②既に先生の解説がされているので、知識を吸収しやすい
でした。「授業内テストでバツだった問題」は、この②には該当しないけれども①に該当するから、が理由です。
チェックテストでバツになるということは、その問題に関連する事項の理解が不十分だということです。(計算ミスなどは除きます)
先生の解説はなされていないので自分で解答解説を読んで理解する必要がありますが、それでも初見の問題を解くよりは効率的です。
チェックテストのバツ問題は、塾からのメッセージです。
「あなたはいまここの問題が不十分ですよ! 気が付けて良かったですね。この機会にここを勉強して弱点を潰しておきましょう!」
と言われている訳ですから、ここの勉強をすることは有効です。
ただ例外として、難しすぎる問題のバツは放置しましょう。
自分の実力を超えた難問の直しに時間を使っても得るものは少ないです。解説を読めばギリギリ理解できるくらいの難度の問題を選んで復習すると良いです。
第三優先 テキスト内の新しい問題
ここまでの流れの通り、三番目の優先順位はテキストにある初見の問題です。
これは大事ではないという意味ではなく、これより上の優先順位の3つが大事すぎるため相対的に順番が下がっているということです。
本当は少しでも沢山問題を解いて練習したいのですが、現実的には、過去問と解きなおしとテスト直しをすると、算数にかけられる時間はもうそれほど残らないかと思います。
であるならば思い切って、テキスト内に掲載されている問題の内、初見で手付かずの問題は切り捨てるのが有効な戦略です。
もしも初見問題の練習を学習に組み入れるなら、どの問題にするかは厳選する必要があります。
塾の先生が「この問題はとても大切だから必ず解くように」とアナウンスした問題であったり、家庭教師の先生がその子のために選んだ問題などです。
先生がその子に合わせて選んだ問題は解く価値がありますが、クラス全体に向けて「余裕があったら〇ページから〇ページまで解いておくようにー!」とザックリ指示した宿題は、優先度を下げて構いません。
まとめ
家庭学習の優先順位を判断する際の基準を、具体例を交えながら伝えることを目的に記事を書きました。
繰り返すと、優先順位を判断する基準としては
「その勉強は時間に対する学習効果が高いか?」です。具体的には
①既に先生の解説があった問題の解きなおしは学習効果が高い
②チェックテストでバツになった問題は不得意が凝縮されているので学習効果が高い
の二つです。
この二つの基準を大きく外さないように取捨選択していけば効果的な学習が出来るでしょう。
2月の入試まで残り4か月、頑張っていきましょう!