算田数太郎は中学受験の算数指導を専門にしていますが、ある時興味があって国語指導法についての書籍を読み込んだ時期がありました。
国語の良い先生はどのようなことを指導しているのだろうか?と思い、出版されている様々な国語指導の技術書を手あたり次第読みました。
その中で「これは役に立つ!」と思えた書籍が5冊ありましたのでご紹介します。
(他にも良著は沢山あると思います。算田がまだ出会えていないだけの可能性もあります。あくまで算田が読んだ中でのお気に入りを5冊紹介します!)
まず初回に紹介するのは
井上秀和『中学受験国語 文章読解の鉄則 増補改訂版』(エール出版、2014年)
です!
こちらは指導していた生徒のご家庭に置いてあることが何回かあり、そこから知ったものです。
著者の井上先生は現役で家庭教師をなさっていて、ブログも開設されています。
にほんブログ村のランキングに登録されていますので、記事下部のリンクからご覧になってみてください。
本著の特長は国語の出来る大人が「何となく」や「当たり前」でやっている読解を言語化して「鉄則」として分類し、子供向けにまとめた点だと思います。
通常の大人が「そんなの当然分かるでしょ!」と言ってしまいそうところを、どこまでも掘り下げています。
例えば「読み方の鉄則 その25」では次のように書かれています。
物語文は「登場人物の葛藤」が問われることが多い。
このような初歩の初歩から丁寧に書かれています。
国語の得意な大人は当たり前だとして見過ごしてしまいそうなポイントから丁寧に書かれています。
「鉄則」は全部で100以上に及び、大人が読んでも勉強になるような鉄則が数多くあります。
算田は読んでいる際に「そう言われればそうだ!」や「そうか、子供はここが分かっていなかったのか!」と驚きの連続でした。
本書の使い方としては、お父様お母様が読んで参考にしてお子様に指導されると良い気がします。
「鉄則」の分類は子供向けに本当に初歩のところまで丁寧にされていますが、説明の表現はやさしいものではなく、手抜きなく本気で書かれているように思えます。
6年生なら理解できるかもしれませんが、4・5年生が一人で読んで理解するのは大変かもしれません。
「読めば何となく答えは分かるけど、どうしてそうなるのか子供に教えられないな~」という保護者の方にピッタリな本だと思います。
また、後半の入試問題解説のページが秀逸です。
書籍の前半で解説された「鉄則」を用いると難関校の入試問題が論理的に解けるということが示されています。
大手塾のほとんどの解説は「どうしてその答えが正解か」が説明されています。
しかし本書の解説は「どうやってその答えが正解だと判断するのか」の方法が解説されています。
結果の提示ではなく、途中の道筋を解説してくれています。
算田自身も自分で現代文の問題を解くだけなら得意だと思っていましたが、プロの先生が指導する際にはこんなにも深く論理に裏打ちされているのかと分かった一冊でした。
保護者の皆様、是非読んでみてください。