本当にあった怖い話シリーズ第三段。
今回は集団指導塾の保護者面談でのエピソードです。
SAPIXや早稲田アカデミー、日能研で定期的に行われる面談での怖いエピソードです。
例によって物語風に書いていきます。
成績表の数字を音読します!
今日は小学六年生の子供が通っている塾の保護者面談。
もう今年は受験学年、受験校の決め方など、先生に聞きたいことがたくさんある。
うちの子にあっている校風の学校はどんなところがあるのか。教科の得意不得意から入試傾向が合っている学校はどこなのか。今の成績で第一志望校に届くのか……
子供を直接教えている先生だから分かる、生の意見を聞きたいと思っていた。
お世話になっている先生にお会いするのだからと、きちんとした格好をして、ネックレスもつけて、張り切って塾へ向かった。
面談は算数を担当しているベテランの先生が来てくださった。
しっかりと先生の話を聞かなくちゃ。
「〇〇くんは、前回の志望校判定テストで、偏差値が△△でしたね。算数がちょっと下がり気味なので、ここを強化した方が良いですね」
あれ? 先生の話は成績表の数字の事ばかり。 それなら、私だって見れば分かる。先生ならではの話を聞きたかったのに……
「前回のテスト、四角3の平面図形で間違えてしまいましたね。第一志望校は、えーっと……◇◇中学ですか。ここは毎年図形が出ますので、しっかり強化していきましょう。」
あれ? テストでどこを間違えたかの話と、成績表の数値の事くらいしか言わない。アドバイスが薄くないかしら。しかも生徒の志望校も把握していないのかしら?
その成績表、もしかして……???
でもまぁ、仕方ないかもしれない。先生もたくさんの生徒を担当しているのだから、うちの子ばかり見ているわけではないもの。
先生なら、成績表の数字から私たちよりも正確に状況を掴んでくださるのかもしれない。
この時はまだ期待していた。だってベテランの先生だもの。プロとしてのアドバイスをしてくれるはずだと。
「えーっと、前回は理科がとてもよくできたんですね。がんばりましたね!」
あら? 前回のテストは理科の成績が大幅ダウンしたはずなのに。どうしたのかしら? 何かおかしくないかしら。
そう思って、先生の手元の成績表を見てみた。すると……
思わず目を疑った。先生の手元には、前々回のテストの成績表が置いてあった。
先生、それって……古い成績表では……
「ああ! お母さますみません。間違えてしまったようです」
恐怖の面談時間
もうこの先生とお話していても時間の無駄じゃないかしら。
そんな風に思っていた時、幸か不幸か、先生がこう言いました。
「それではお時間が来てしまいましたので、今回の面談はここまでにしましょう」
あら、面談が始まってから15分しか経っていないじゃないの。
これじゃぁほとんど何も相談なんてできないじゃない。
先生の話を聞いて、一つ二つ質問したら終わってしまう。
面談で解消しようと思っていた疑問や不安は、解消されないまま、徒労感とともに自宅へ持ち帰ることになった。
一人で歩く帰り道。肩がいつもより重く感じるのは、決してネックレスのせいではなさそうだった。
まとめ
この話は、算田が昨年指導していた複数のご家庭から伺った話を統合して作成しています。例によって誇張と脚色を含んでおりますが、元となるエピソードは実際にあったものです。
集団指導塾の面談は、一言で言えばベルトコンベアー方式です。一人15~20分で終わらせてしまうケースも多いと聞きます。
もちろん熱心に話してくださる先生もいますが、中にはこういったケースもあるようで……
指導方針を共有したり、生徒の受験校や併願パターンの相談で保護者の方とお話しする場合、1時間前後かかるのが普通です。
特別に長く話しているということではなく、必要なことを説明し、ご家庭の疑問や悩みを聞き取っていると、どうしてもこのくらいの時間はかかってしまいます。
今年は新型コロナウイルスの影響もあり、なかなか面談を行いづらいかもしれません。
算田も今年はじっくりとした面談時間をなかなか取れないでいます。
それでも家庭教師としては、電話でもメールでもzoomでも何らかの手段で、少しでもご家庭の悩みを聞き取る時間は必要だと感じています。
保護者の方とのすり合わせの時間を取らないまま指導を続けてしてしまうことが一番の恐怖です。
そんな暗中模索状態で指導を続けるなんて、私には怖くてできません。ご家庭だって怖いでしょう。
面談時間をほとんどとらない先生方は、怖くないのか、それとも……
以上、今回の怖い話でした。